もじ | ナノ
※君と僕 から。浅羽、双子



穂稀高校には美形の双子がいる、と風の噂で聞いたことがある。実際、会って話してみたい、という訳ではないけれどまあちらみくらいはしたい、というのが本音。まあ私は、よく本屋に来てアニメージャを購入していく彼に一目惚れしたのだが…お恥ずかしい…。

「…あ、折れてる」

そう雑誌を見て、呟いた彼はわざわざ下のほうから雑誌を取り出し、手元へ持って行く。それが私が見た最初の光景。
毎月出ているアニメージャを購入していて、ああこの人アニメとか漫画とか好きなのか、と思い、見ているだけで満足だった。
しかし、その彼にはおそらく彼女がいて。一回ちょっと遠出をして本屋に行こうとしたのが間違えだった。彼女らしき女の子と一緒に歩いていて、ゆっくりたわいもない話をしていながら(しっかりは聞いてない)、帰って行ったのを目撃していた。それ以来、私は彼には彼女いるのかと諦めたものだった。

「アニメージャの全員応募者サービス…」

迷うなあ、どうしようかなあ。本屋に行って買ったはいいものの好きな漫画がすぐに読みたくて歩きながら読んでいた。一歩間違えれば死ぬ気がするけれど、この辺りは車通りは少ないから大丈夫だろう。

「ゆっきー、また買うのー」
「そうだよ、千鶴。アニメージャの全員応募者サービスを2つ貰う為に悠太に手伝ってもらうんだから」

アニメージャと聞いて反応するのはいかがなものか、と思い声の方向へ顔を向ける。真っ正面にいて私はぶつかってしまった。ああだから読みながらはだめだって言うんだよね。

「いたいなー…って、あ」
「ごめんなさい!」

謝って立ち去ろうとすると、腕が捕まれ、雑誌を渡される。

「これ、君のだよね」
「あ、はい」

これが彼との出会いだった。
とか言ってみたいよね。



「どうゆーき!こういうシチュエーションよくない!」
「えー、ゆーたはどーなの?」
「アニメージャの時点でちょっと」

ちなみに実際、前に記していたようなことは起きてない。あ、でも、学校は違う。

「ゆーきならわかってくれると思ったのにー」
「いやいや」

手を振られ全否定。

「ゆーたああ、慰めて!」

ぎゅ、とゆーたに抱き着くとぽんと肩を叩かれる。なにもしてないけど、え、何?

「俺にもちょっと理解できないから慰められないよ」


双子だからね、大丈夫。
 受け止めてあげる。

(でも無理難題はちょっと)
(受け止めて!このシチュエーション!)
(いやあ、無理。)




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