もじ | ナノ
※めだか番外編の須木奈佐木さんが出てます。
苦手な方はご注意を。















須木奈佐木(すきなさき)ちゃんは私の友人である。いつもおどおど、びくびくしているけれど、実際は全く違っていて、須木奈佐木ちゃんは支配者を支配出来る、ということを須木奈佐木ちゃんのクラスメイトは知らない。須木奈佐木ちゃんのことを【弱いもの】だと思っている。そんなことにあるわけないのに。ただ人数が多いから強い?いやいや、それはない。確実にない。絶対にない。強いのは異常性(スキル)をいかに操れるか、それだけだと思うんだ。まあそれは須木奈佐木ちゃんの受け売りだけれど、問題はないだろう。だって須木奈佐木ちゃんとは友達だもの、ね?最近須木奈佐木ちゃんは私に隠し事をする。ひどいよね、友達なのにさ。だから私は内緒で須木奈佐木ちゃんのことを調べようと思うの。違うクラスだから情報が少なくて結構困る。でもみんな口々にしていうのは「気味が悪い転校生とよく話す」ということだった。
私も噂だけなら聞いたことがある。割合可愛い顔をしているのに、何だか薄気味悪くて話せない、ということだ。とりあえず話してみないと何も変わらない。蛇篭会長が倒れ、その転校生が生徒会長。どう、だろうか。私は須木奈佐木ちゃんのクラスで待機。ちらりと机を見ると、須木奈佐木ちゃんのとおそらく転校生の鞄が置いてあった。いたみたいでよかった。一人安心に浸る。…あ、でもどうしようかな、何て話しを切り出そうか。迷うなあ。一人で考えてはみるものの何も思い付かない。なんということだ。

『あれ?君どうしたの?』

話しかけられ、思考が一旦止まる。声のほうへ顔を向けると、見知らぬ顔。…この人が転校生か。

「はじめまして」
『あ、うん。はじめまして、僕の名前は球磨川禊。よろしく!』

名前を言われ、手を伸ばされる。私はその手に触れ、握手を交わす。なんだ、普通の人だ。薄気味悪くなんてないじゃない。

「私は名字名前。ちなみに須木奈佐木ちゃんの友人だと思っているよ」

『でも君、嫌われてるだろ?』

ああ、そうか。わかった。薄気味悪いじゃなくて、捕え所がないんだ。この人。手を伸ばしたらすり抜けて行ってしまうくらいに掴み所がない。

「そんなこと、知ってますよ、だって須木奈佐木ちゃんは私のこと苦手意識してますからね。でも、私は友人だと思っています。それで、いいんです」

そう、それでいい。未だ握られていた手を離し、私は机に頬杖をついた。黒板を見ながら私は微笑む。それでいい。

『んー、そうだな、副会長になれ!ってのはどう?』
「…何がです?」

某ポケットに入るくらいのモンスターの主人公みたいに、キミに決めた!と言わんばかりのポーズ。やめてください、恥ずかしいじゃないですか、と言おうとしたが実際教室にいるのは私と球磨川禊だけ。問題はない。

『いや、最初は須木奈佐木さんを副会長にしようと思ったんだけどね。気が変わったよ、うん。キミが副会長で、書記が須木奈佐木さんにしよう』
「…意味が…理解しかねますが…」
『そのまんまだよ。よろしくね、副会長さん』

そういって笑って去っていく、転校生こと球磨川禊が、この水槽学園を壊す張本人だということを私はまだ―――…知らない。



120111
須木奈佐木ちゃんってギャップ萌えだと思うんです。


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