「善吉くん、呼んでもらえるかな…」
はた、と後ろを向くと恐らく先輩であろう姿。誰だろう。でも困っているなら助けなければがもっとーな私は素直に人吉くんを呼び付けた。それが先輩と私の出会いだった。
先輩はちょくちょく人吉くんに会いに来るらしく、人吉いわく友人。私から見ると先輩が人吉に依存してるようにしか見えない。もじもじと嬉しそうに人吉の名を呼ぶとことかまさに。
「なあ名字昼休み暇か?」
私が先輩と短い会話をしてから数週間たった。人吉に話かけられ、ご飯食べ切れば暇だけどと可愛げのない返答をする。それなくせに人吉は気付いたふりをして、昼休み中庭な、と私を呼び付けた。何のようだ、何の。私は黒神さんの変わりにはなんねーぞ?なんて、当たり前なことを思いつつ昼休み。ちゃんとご飯を綺麗に平らげてから、中庭にきた。やっぱり広い。この学園どこにお金使ってるんだよ…本当。
「おーい、名字」
「あ、人吉。で、何用?ついでにイチゴオレ奢って」
さらりと我が儘を吐き出すとポケットの中から150円をだす。これで買えということらしい。やった、70円貰った。
「ついでに、今日用あるのは俺じゃねーよ、」
「あ、宗像先輩だ。なんですかー」
死角にいたらしく、私には彼が一回見えなかったのだが、まあ問題ないだろう。殺される訳でもあるまいし。
「…ああ、うん、えーと…」
「ん?人吉ー、先輩って人見知り?いや、少し話したことはあるけどさー」
「あながち間違っちゃねーが…、って宗像先輩、何やって…」
くるり、と宗像先輩のほうを見ると先輩の爪が私の首の動脈あたりに突き立てている。え、どういうこと。私はずり、と後ろへ引き下がる。
「え、え、何、え」
「名字、すまん」
「どーして人吉が謝るのさ、」
宗像先輩の顔が見れない。怖い。前まではいい人だって思ってたのに。どういうことなの。
「ごめんね、ただ、君を僕のものにしたかっただけなんだ」
「…え」
発言と行動がちぐはぐで人吉も髪をかいて遠い目をしてる。
「先輩、どういうことですか」
独り占めしたいだけ
そう先輩は呟いて、そんなことに慣れていない私は真っ赤になってしまった。
(…可愛いよ?)
(あ、ありがとうございます…)
120111
宗像先輩がかわいい