もじ | ナノ
帰り道、にゃあ、にゃあ、と段ボール箱の中に鳴いている子猫を見つけ、私はその段ボール箱を拾うことにした。ほって置けないし。しかし猫を飼うとしても許してくれるのかどうか。
私これで二桁いったときおもいっきり怒鳴られたからなあ。親と猫友にメールを打ち、とりあえず返信が来るまで自宅待機しようと思い段ボール箱を抱え上げる。鞄はとりあえず背負う。鞄より猫だ。
命あるもののほうが大切。

「ついた…、っと!」

鞄を居間にほうり投げ、段ボール箱を自室へ運ぶ。猫用のミルク?もちろん自室に完備されているが何か? 連絡があると思ったから携帯はバイブレーションにしてポケットの中へ。

「子猫、かわいいなあ」

にゃあ、となく彼らはかわいいものだ、本当。箱の中には3匹いたようだが一匹はいなくて残り二匹。少し汚れているので洗ってからミルクあげようと考え私は段ボール箱ごと洗面所へ移動させた。みゃあ、にゃあとなく二匹を逃がさないようにゆっくり丁寧に泥を落としていく、一匹完了。コツを掴んだのか二匹はあっさり完了し、人肌に暖めたミルクを彼らに与えていく、んくんくと飲む姿は本当に愛らしく鼻血が出そうだ。
携帯のバイブレーションが鳴ったのは、彼らがミルクを飲み終わりお腹いっぱいになったからかうとうとしていたときだった。

「もしもし、子猫丸くん?」
「電話すぐかけてくるてなんかありましたか?」

猫友の子猫丸くん。名前からしてかわいい。後ろからはパアンとクラッカーの音がする。

「子猫、拾ったの!」
「ほんまですか!」

テンションがぐいと上向きに盛り上がり、周りの声が聞こえない。

「子猫丸くん、私の家来る?」
「あー、行きたいのはやまやまなんですが…」
「子猫、行ってきい、みんなにはこれから説明しとき」
「坊…」

何かあったのかな、悪いことしたなあと思いながら子猫丸くんを呼ぶ子猫の声。

「ありがとうございます、坊」
「勝呂くん、ごめんね、何かあったのにって伝えておいて」
「わかりました」

電話を切り、すぴすぴと寝ている猫を撫でる。かわいいなあ。ヴーとバイブレーションが響き、親からのメール。
【もう飼いませんからね!】
…ですよね、わかってますよ。

とりあえず寝ている子猫の写真を撮る。音はしたが起きる気配はない。

「…名前さーん、来ましたよお!」

声が響き、子猫丸くんが来たということがわかり私は玄関へ向かい、子猫丸くんを迎え入れた。

「…その恰好…どうしたの?」

子猫丸くんは制服は制服なんだが所々生クリームが付着している。甘いにおいするし。

「ああ、お祝いしてたんです」

「なんの?」
「誕生日です」
「誰の?」
「僕の」
「え」

まさか今日誕生日だなんて気付かなかった…。

「子猫丸くん、祝えなくてごめん。でも猫見て癒されていって?」
「わかってますよ、だって僕名前さんとは猫のことしか話してないじゃないですか。だから今日僕は猫を見に来たんです祝って欲しい訳じゃないんですよ?」
「子猫丸くん……、あ、猫は私の部屋で寝てるよ」

子猫丸くんに私の部屋の場所を伝え、私は外へ出た。子猫丸くんとしたことが手ぶらだったから、私はあれをあげるんだ。あ、あった…。

「名前さんどこ行ってたんです?」

手を使って子猫と遊ぶ子猫丸くん。今日は忘れたんだね、my猫じゃらし。子猫丸くんとしたことが。

「子猫丸くん、誕生日おめでとう、で、こんなので悪いけど誕生日プレゼント」

すっ、と渡したのは、軽く水洗いした猫じゃらし。まだ生えててよかった。

「ありがとおございます」

子猫丸くんは猫じゃらしで子猫と遊び、私はそれを見ていた。


猫と猫!

(誕生日おめでとう!)



120108


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -