もじ | ナノ
ここの学食はおかしいと思う。

お金によりをかけてるかもしれないけど、こんな料理美味しいだなんて言える訳がない。一番高いものを頼んでもただただ食材がいいから高いのかな、と思う程度。そんなのだったら自分でお弁当でも持ってきて食べたほうが十分に美味しいと思う。

―――


最近、調理実習室で噂になっている話がある。学食よりも安く、尚且つ家庭料理が美味しい謎の店があるとの噂だ。噂は噂だが、気になってしまって仕方がない。そんなに美味しいのか、食べてみたい。私の知り合いはみんなお金を出して買った学食のほうが美味しいと思っているから、私は一人別行動。

「看板、すごいな…」

家庭料理の店、奥村屋…ランチ500円とか財布に優しいでしょ…。

「いっ、らっしゃいませ!」
「お勧めってなんですか?」
「ひっ日替わりランチ、です」

噛み過ぎだなあ、と思いながらそれを1つ、と注文した。着物着てる女の子我が校にいただろうか…?まあ、問題ない。まずくなければいいだろう。
わいわいと俄に繁盛しているようだ。まあお金持ち校とは言うものの、あんなランチを食べていたら色々と破綻しそうだが。

「お待ちどう、さまです。日替わりランチです」
「ありがとう」

お礼をいい、おぼんを受け取る。和食か。味噌汁の匂いがいい匂いだ。ちゃんとだしから取ってありそう。

「いただきます」

そういって一口。

「……美味しい。懐かしい味」

実際本当に懐かしい味かはわからない。小さい頃全く覚えてないけれど、この料理にはなんだか美味しく食べて欲しい、という思いが込められていた。
ちらり、と料理を作っている人を見ると我が校の生徒だ。商売してもいいのか、と思いつつも美味しいから問題ないか、と自己解決した。

「ごちそうさまでした」

ぱんっ、と手を合わせ私はお金を払った。学食よりなんだか心が充実した気分だ。また来てあげよう。


おいしくなんて、あった。



111106
燐の手料理食べてみ隊


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