あー、と声にならない声を上げて(意味わかんねぇ)俺は髪をかきまぜた。
「燐くん、どうかした?」
上目遣いで俺を見る隣の席の奴。可愛い。でもそんなことは言えねぇ。彼女は、俺の弟である雪男に惚れていたのだ。
雪男は確かに格好いいし、頭もいい。俺とは真逆だ。それは認める。だけど、好きな奴に好きな子の相談受けるって物好きだ、ものすごく。
「燐、くん?」
「あぁ、わりぃ。で、なんだ?」
彼女はいい笑顔を浮かべ「彼」の話をする。俺にはちょっと不愉快でもあり、その笑顔がとても見たかった。好きな奴の話をすると女は一層可愛くなる、というのは事実で、その笑顔を見ただけで俺は幸せになる。欲を言えばその笑顔を俺だけに見せて欲しいし、彼女の色々な表情を俺だけに――…そんな薄汚い独占欲が広がる。
「燐くん、どうしたの?」
「なんでもねぇ、で、どうすんだ?」
「私ね、告白しようと思うんだ」
雪男ならいい返事をしそうだな、と思いながら俺は自分の気持ちに蓋をする。
「頑張れよ、名前」
「相談に乗ってくれてありがとう、燐くん」
君が好きで、仕方ない。
だからこそ、我慢出来る。
111017
燐は結構切ない感じが似合うと思う。幸せになって欲しいけど