ピンク色の頭が目に入る。嫌でも目立つあいつは、女の子を困らせていた。
「…えと用事があるんです」
「用事なんか後でええやんか」
「ダメですっ」
女の子がもの凄く可哀相に思えてきた。多分この学校に通ってるってことはいいとこのお嬢様なんだろうな…、普通こんなナンパに合わないもんね。
「おいこら廉造」
「げっ…」
「げっ、って何?なんか悪いことでもしてたの?」
私は廉造に話しかけながら女の子に目配せして先を急がせた。会釈をし走って逃げていった彼女を確認して…――蹴った。
おもいっきり鳩尾狙い。
「痛い…、なんでそんな怒ってはりますのん?」
「…お前が悪い」
ナンパなんてしないで私を見て、とは言えない。恥ずかしい。
私の初恋はこいつで、まだまだ私の初恋は継続中だ。ちくしょう。なんでこんな奴好きになった。女好きなのは知っている。出雲ちゃんに相談したら「馬鹿なの、…あいつ相当ひどいわよ」とかいいながら心配してくれ、そして応援もしてくれていた。
「俺が悪い…?あっ、女の子ナンパしてたのに嫉妬したとか?」
図星だ。私はぴくりと体を動かし反応してしまった。廉造の方をみると、びっくりしているようだった。
「ちがう」
「は?」
「私、あんたのことなんて好きじゃない!」
「そないな真っ赤な顔でいわれても…かいらしなあ」
素直になれない
あの子の初恋
(素直になるのはまだまだ先)
110923
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