もじ | ナノ
行ってきます、と声をかけ俺は家から出た。学園ではなく祓魔塾のみに通っている俺は、こう言われていた。

「貴方は男装して塾に通ってください」

学園を作っている奴に言われ、理由は、と問い掛けたら

「塾は意外と狙われているのですよ。女の子だと襲われる恐れがありますし☆」

ウインクをされ戸惑ったが、女らしいとは言われないから、ちょうどいい。

「ばれちゃ駄目ですよ。私と貴方の家族以外にね」

それを約束され、頷いた俺。

「ああ、そうそう。好きな人が出来たなら是非招待ばらしてください☆面白いですし!」
「有り得ません」

反論し、鍵を貰う。使い方は説明された。俺は鍵を刺し、塾の教室へと向かうことにした。

「あれ、教室どこだ…」

沢山の教室があり、わからない俺は人に聞くことにした。数分後、遠くから声が聞こえた。
声の主は3人組で、坊主とモヒカン、そしてピンクがいた。

「ん?どうしたんや?」
「教室、どこだかわかる?」
「多分一緒やで。女子いるんか、楽しみやなぁ」

ピンクに気付かれ、会話をする。女とばれたのか…?

「そいつ女やのうて男やろ」

モヒカンと坊主がフォローしてくれた。3人と教室に入り、色々と話した。名前も聞いた。

「ピンク、いや志摩とかって正十字学園に通ってるのか?」
「ピンクってひどいわ…」

嘆いている志摩に変わり子猫は、そうですよ、と緩い返答を返してくれた。

「あれ、じゃあ…?」
「俺は違う、適当に勉強してる」

こいつらと笑い合うのが俺の楽しみのようだ。
月日が流れる。その間俺の男装はばれてなかった。でも未だに志摩だけは疑っていて、面倒だった。

「ほんまに男?」
「本当だ。信じろよ」

志摩は、どないやろな?と意味深な言葉を吐いて、会話を途切れさせた。そんな俺達はコンビニに行っていて、志摩はエロ本なるものを正々堂々と買っていた。(さすがに驚いた)

「多分最初に会ったとき、雰囲気が女の子、やったからかなぁ?」
「……っ」

どないしたん?と心配をかけられる。私の演技は駄目だったのか。

「なあ、俺な、君のこと好きなんよ。男装なんてやめぇや。素顔が見たい」
「な、ななな!」
「顔、真っ赤や。かわええ」

志摩は、わかっていたようだった最初から。俺、私の気持ちはまだ固まってない。気にならないというのは嘘ではない。惹かれて、いるのかもしれない。

「まあ、男装してると考えると余程の理由がありそうやし」
「……」

特にない、とは言い出し辛かった。でも気付かれているし、気になってもいる。ばらしちゃおうか。

「志摩、」

私、いや俺は彼の名前を呼び微笑んだ。


そこまでした理由
(まだ、秘密だ)



企画サイト「青、逢う」様に提出
ありがとうございました。

110904


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