ニヤリ、と傍観者は笑みを浮かべる。
「おわりだね、シズちゃん」
傍観者―…彼、としておこう。
彼は遠くを見つめ、笑う、笑う、笑う。
声がこの町に響くように、笑う。
実際その声が町に響いた、わけではないだろう。
ただの比喩だ。
彼はそれほどまで、彼を終わりにさせたかった。
私には一つも理解出来ないが。
彼は笑う。
笑う。
笑う。
「この町にシズちゃんか、いなくなったら、平和だよねぇ」
ああ、どういうことだ。
いなくなってしまったのか。
「ねぇ、君、聞いてるの?」
彼は、傍観者ではなく主役になってしまった――。
「…―迎えに来たよ、お姫様…ってね」
また、笑う。
「五月蝿い。少し黙って」
にやり、と嫌な笑いを私に向ける。
ああ、嫌だ。
なんで、彼はいなくなってしまったのだろう。
いや、彼はいるにはいるのだろう。
そう、思う。
「ねぇ、お姫様。俺と一緒に行きませんか?」
「どこへ?」
彼は悪い顔をして、私に囁いた。
「君の王子様、シズちゃんのところへ…だよ」
やっぱりいるんだ。
彼は。
でも、今の姿は見せられない。
「今は嫌」
「どうしてだい?今の君は俺のものだろう?拒否なんて君にあるはずもないし―でも今、心の優しい俺が君の心残りを無くそうとしているのをわかっているのかい?わかってないんだよねぇ。だからこそ、今俺はシズちゃんに君の姿を見せたいんだよ。どんな顔をするのかなシズちゃんは。彼女に裏切られた化け物の顔を見られるんだよ。それだけでも楽しいじゃないか!楽しみだなあ、楽しみだなあ!!」
彼はまた笑う。
嫌な笑い。
でも、慣れてしまった。
慣れちゃ駄目なのに、慣れてしまった。
嗚呼、彼に染まってしまった。
エンドロールはもうすぐ
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