もじ | ナノ
私は素直になれないなんだかいやな子だ。

彼には、暴言はいちゃうし、殴ったりもしちゃうのに。

でも彼は「危ないなぁ…」と渇いた笑みを浮かべて、私を受け止めてくれていた。


ごめん、ごめんね 臨也
嫌い、なんていってごめんね
その逆なんだよ
ごめんね


そう心の中では言えるが、直接なんていえる訳がない。

「臨也のばか、あほ、おたんこなす」

ぶつぶつと出来る限りの悪口を呟く。

「…でべそ、爆発しろ…」

だんだん声が出ない。

「…っ、あ、う…、す、好き」


ぽろり、と気持ちをはく。
そこに彼はいないのに。

でも彼は聞いてるはず、いや気付いているはず。
だって、私の彼だから。


ガチャ、と扉が開く。

彼が遊びから帰ってきたようだ。

おかえり、って笑顔でいってやるんだ。


「おかえり、臨也」
「ただいま、名前」

「ねぇ、臨也」
「何?」

私の気持ち、聞いて。

「好き」


「そんなこと、」


君の気持ちなんてとっくに知ってる


と彼はポツリ、そう呟いた。




100510

素直になれない女の子の話


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