ぐだっと、私はソファーらしきものに転がる。
ああ、疲れた。
「君、重い」
同棲、ではないけど私はここですごしている。
バイト、というものかもしれないとは思う。
「うるさい、臨也」
「お金減らそうか?」
「やめて、それだけはやめて!」
にやにやと、情報屋が笑う。
お金減らされたらたまったもんじゃない。
私いつでもピンチなのに。
「なら、どこうよ」
「えー…動くの面倒」
私は梃子でも動かないつもりでいた。
「…ねぇ…」
「何、臨也?」
甘ったるさを残した声で私の名を呼ぶ。
「襲うよ?」
そんなことをいきなり言われた私は驚いた。
転がっていたソファーからずり落ちそうで、
彼にしっかとしがみついた。
彼は、一瞬目を開いて、耳元で“その気なの?”という。
そんな行為は私をひどく困惑させるのに十分で。
「なっ…あっ…うー」
「ははっ、顔真っ赤。
まあ、そんなわかりやすい君だからこそ
俺は嫌いで好きなんだろうね。
シズちゃんみたいじゃないからね。
わかりやすい君は好きだよ?」
告白もどきをされ、またもや困惑する私。
「一つ、確認していいですか。臨也さん」
「どうぞ」
「いまの、なに?」
は?、と気の抜ける声を出した臨也。
わからないよ、全く。
「ああ、もうだから、君は嫌いなんだ。
……1人に、しないでくれ。傍にいてくれよ」
かあっ、と熱が上がる音がした。
寂しい魔女の恋患い
110427
臨也さんがさみしんぼは嫌な話。
いつもより素直な臨也さん。
違う意味で非日常ですね
企画サイト、プラスアルファ様に提出。