時刻は放課後とすこしだけ過ぎた時間。
授業の復習をし終え帰ろうと教室を出たらその際近くでふわぁと気の抜けた声が聞こえた。
「あ、転校生じゃん、おはよお〜」
まるで先程起きましたから、といわんばかりの額に机の跡。そして頬に付いている涎の跡。
苦笑してそのことを指摘すると興味無さそうにふぅん、と返された。綺麗な顔なのにもったいないよ、というと、ならやっておいてよ、俺は寝てるからとまた大欠伸をされる。
「プロデューサーは身の回りの世話もしてくれるんでしょ?」
ぼんやりと口元を歪めて笑う彼に負けた。
しょうがないと言わんばかりにお手拭き用で持ってきていたウェットティッシュでごしごしと頬をこする。白い肌が擦ったせいで少しだけ朱に染まって、照れているように思えた。
「なにみてるの」
つん、と額をつつかれぼんやりと彼を眺めていたことに気づく。なんでもないと返すとふぅんと興味無さそうに返ってくる。
「ねぇ、ピアノ弾いてあげるよ」
何が彼にとって良かったのかさっぱりわからないけれど彼は突然上機嫌になって私の手を引いた。
両方の頬が朱に染まっている表情はとても生き生きとして見えた。
150521
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