もじ | ナノ
※審神者がいそうでいない



石をも切る神刀、とは言われているがどうして自身の名が石切というのかは未だに謎である。石切という逸話は数え切れないほど多い。どれが自身の逸話なのか長い時を神社で過ごしている私からしてみればほんの少しの逸話なのかもしれない。いやまあ、生きている人から比べればほんの少しというものではないけれど。膨大な量になるのだろう。
長い間を神社で過ごし、奉られ、石をも切る神刀はいつの間にか腫れ物を落とすとして名がしれた。参拝者も増えた。
そこから戦はなくなったのか、となんとなくではあるが感じたのだ。もう、自分を斬るものとして扱うものはいないのか、と。恐らくはこのままずっと神社で過ごしていくのだと。
しかし、時が経ち付喪神として人型をとり、刀を振るうようになった。斬るものとして扱われるようになった。それは良いことなのか悪いことなのかはわからない。

「部隊の厄落としかい?……違うのか。戦えと、そういうことをいうのかい?」

自身が持つ刀は自分自身。これを折られてしまったらなんて考えたくもない。
戦いは不慣れなのだ。
石をも切る神刀と名が知れていたとしても、腫れ物を落とすと言われていても。

「わかった、」

でももう刀として斬る行為が出来るのはこれ以降はないだろう。振るうのが自分だとしても。
もう、後悔だけはしたくない。

150224


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