もじ | ナノ
俺の主は心配症である。
まだ、大丈夫だと言っても帰ってこいというし、ツバつけときゃ治るだろと言っても手入れしに言って来いという。
他の刀剣が言う「愛されている」とでもいうのだろうか。しかし俺は戦うための刀である。実用性しか考えられていないのだ。ならびに刀は消耗品だ。そんなのなんかにわざわざ手入れをするのは甚だ疑問である。
手入れを終えて本丸に戻ってくるとひらりと手を振る主がいた。おそらく次の指揮のことだろう。戦いは心が躍る。

「同田貫、気をつけていってらっしゃい」
「おう」

主は過去には行けない。だからこそ行ってらっしゃいと俺たちを送り出す。

「あ、同田貫コレ、腰にでもくくりつけておいて」

そう言って渡されたのは桜色をしたお守りで。こんな不格好な刀に可愛らしい色合いをしているものを持つのは多少戸惑うモノがある。

「これでいいのか」

軽く通して外れないように確認をする。

「大丈夫だね」

黒い服に桜色をしたお守り。不格好な姿に主はまた、気をつけて行ってらっしゃい。帰ってくるんだよと言葉を追加して送り出した。


150224
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