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ひとりぼっちであいつはしんだ

またね、だなんて笑いながら球磨川さんはいなくなった。球磨川さんはまたね、といってまた戻ってくることは知ってる。オールフィクション、というスキル。
何もなかったことにするスキル。
だから球磨川さんは自分自身が死んだことをなかったことにする。だからまたね、といって消えていく。

「球磨川さんはそれは寂しくないんだろうか」
『寂しくないよ?』

笑いながら球磨川さんは私の横に立った。

『また、嫌な奴に会っちゃったよ、やだね、それだけは』

苦笑いをしながら、なんとなく嬉しそうな表情を浮かべている球磨川さんが少し憎らしいように感じた。

「ねぇ球磨川さん、」
『なに?』
「さよなら、って言わないんです」
『そうだね』
「やっぱり寂しいんですね、人と離れるの」
『そうなのかな?わからないけれど』

さよならは別れの言葉だけれど、またねは再開の言葉だもの。一人ぼっちで死にたくないからこそ言う言葉なんだろうか。

140704




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