もじ | ナノ
※ユウスケさんとヨシタケ姉の話。


付き合ってるんスよ、と冗談でいったけれど、そうでもしなければユウスケさんはどうせ気づくことなんてない。自分より年上の人でそれも弟の友達の兄。そんな人に簡単に好きなんです、なんていえるわけない。どうせユウスケさんは私のことを女、ではなく妹として見ていると思う。前々から仲良かったけれど、女として接してくれていたことがあるかと問われれば、ないと断言できる。
「毒のある肉は食わんだけだ!」と冗談を言ったらそう返ってきて、私は毒のある肉なのかと少し落ち込んだ。実際私は肉なんかではないけれど。

「田中!」

考え事をしながらめーちゃんと帰り道を歩いていたら、ユウスケさんの声が後ろから聞こえて何事だと思って振り向いたら、ユウスケさんとおそらくユウスケさんの友達であろう方々がぞろぞろと自分達の近くに近づいてきた。

「めーちゃん、先帰ってていいよ。多分危ないかもしれないし」
「あ…そうですか?今日用事あるんで先に失礼しますね」

たっとめーちゃんは私から離れていった。これで安心だ。めーちゃんをこんな奴らになんて見せちゃいけない。めーちゃんは私の弟にパンツをおもいっきり盗まれているし、おそらくユウスケさんの友達ということは変態が多いはずなので、めーちゃんはとても危ないと思う。

「ユウスケさんなんスか」
「おー、ユウスケ。これが紹介したい女子高生か?かわいいじゃねぇか」
「まぁかわいいというよりクール系だと思うぞ」
「あー、そっちか。確かにクールっぽいよなあ!」
「ちょっとお前ら、一気に喋るな、田中悪い。これ俺の友達」

可愛い、なんていわれたことはない。お世辞だとしても嬉しい。私はペコリとユウスケさんの友達たちに会釈をして、ユウスケさんの横にたつ。知らない人に囲まれるのは少しイヤだし。むしろユウスケさんの近くにいたい、というのが恋している女の子としては当たり前のことだろう。

「ユウスケ、なんだよ。付き合っちまえよ」
「いやいや、それは…」
「いいじゃねぇかよ、お似合いだよ」

ははは、と笑いながらだけれども遠慮なくユウスケさんの友達は私とユウスケさんをくっつけたがる。恥ずかしいが、そう思われているのかとちょっとだけうれしくなる。

「だから付き合ってねぇよ!お前ら冗談はいい加減にしろ!田中すまないな」
「別に気にしませんよ」

なんて、嘘。すごく、悲しい。ユウスケさんそんなにいやなのかな。私と付き合うっていうの。

「なんだよ、ユウスケんな必死に否定すんなよー、田中ちゃん?だっけか?かわいそうじゃねぇかよー」
「そーだぞ、ユウスケ。女の子泣かすなよー」
「あー、わかってる」

ぎゃいぎゃいと騒ぎながらも、友達さんたちは私を心配してくれていた。すこし、申し訳ない。実際付き合ってる訳でもないのに、こうやって一緒にいるなんて、そして気をつかわれてしまうなんて。少し…いや凄く、申し訳ない。

「私先に帰りますね。ユウスケさん、またうちの弟たちと一緒に遊んでやってください」
「あ…、ああ。またな。田中。色々と俺の友達が迷惑かけたわ」
「問題ないスよ。気にしてませんから」

嘘。
気にしてた。もし、ユウスケさんと付き合っていたらこういう風にユウスケさんの友達にからかわれながらも、笑いあっていたのかな、なんて考えてた。最悪だ私。

「じゃあな、田中」

その言葉をきいて、私はユウスケさんたちからはなれていった。

付き合ってるのかと
    問われたところ


120325
またもや某ぴく●ぶから。
一応続きもの。


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