クリスマスが終わり、大掃除をし、今日は大晦日。大晦日といっても別段することはない。あらかた全て済んでいる。年越しにあわせて起きればいいかと思い、二度寝を試み布団を自分の元へと寄せる。
「寝かせへんで?」
聞こえた声は、兄の声。聞こえなかったふりをしてスルーをするが、兄のことだ、どうせ布団をめくり寒さに堪える俺を見るためだろう。
「あーあ、綺麗な女の人がこれから俺んちに来るのに廉造は来いへんのか。ならええわ。俺その人口説いてくるわ」
「金兄には無理やな」
あ、つい言ってしまった。金兄にはナンパの才能なんてない。むしろあるのは音楽関係の才能じゃないだろうか。
「廉造、起きてたんならはよいえや」
「え、(絶対わかってたくせに何をいうてんや、こいつ)」
金兄は阿保だ。物凄く、配慮のしようがない阿保だと俺ら家族は思っている。
「何するつもりなん?」
「秘密やな」
ククク、と人の悪い笑みを見せ居間へ連れていかれる。
「何?居間になんか用あったんか?」
「おん。これしよおもってな」
居間のテーブルにおかれたのは所謂人●ゲーム。金兄を見るとわくわくしたような笑顔。お前はいくつだ、と問い掛けたくなる。
「じゃあ、始めるで」
了承もしていないのに勝手にカラカラと回されるルーレット。これじゃあ辞めようにも辞められない。
「やめたら女装な。制服やで」
その一言で俺は何も出来なくなった。
勝ち負けのことは俺らしか知らない。
×××
「っ、金兄似合うな…っ!」
「笑っていわれても説得力ないわ!!」
「そういうお前も着ろや!」
「(…あいつら何やってんや…お父には言わないほうがええな)」
111230
年賀状に添付していたURLから見れたもの。
去年はなんだか金造=女装というイメージが強かったので