※志摩家で祝います。
「金兄びっくりすんかなあ」
「するやろ、あいつされるの慣れてるけど、家でこんなんやらんしなあ」
一人呟いた言葉に、にかっと歯を見せ笑う柔兄。そして俺の手元を見てまた笑う。紙を切ったりする音や人が歩くときに擦れる音が聞こえてくる。まだ、大丈夫だ。帰って来てない。
今いる中で真ん中の金兄はうるさくて、痛くて(俺だけ)、色々な意味で最悪だけど、いる時点でこの家ではとても重要なことらしい。まあ兄貴がいたのを覚えてないからよくわからないのだが。でも兄がいる、というのは心なしか安心感はある。
「しかし、まさか廉造が金造の誕生日祝おうとか言うとは思わんかったわ…」
「いや、塾で一緒にみんなの誕生日祝ったなあて思い出してな、やからふと思っただけやし」
「照れんでええよ?」
「照れとらんわ!」
からかうのもいい加減にして欲しいわあ、と呟き作業に戻る。ちなみに今作っているのは紙のわっかみたいなの。昔こういうのを作って坊にあげたなあ、とふと思い出し笑みが零れる。まあぐしゃぐしゃになって返って来たのだが。さて、兄はどんな反応を返してくれるのだろうか、そう思って一つ兄の頭に入るサイズを作成した。
一応一通り済んだ、とため息をついたら、玄関のほうから騒がしい音が聞こえてきた。ざあっ、と何かを落としていく音。そして父の怒鳴り声。おそらくライブのファンの人達に誕生日プレゼントを貰って玄関にばらまいてしまったのだろう。絶対俺に自慢する気だっただろうに…内心ざまあみろとは思うけども、今日は誕生日だ、少しくらい弟の俺が心が広いということをわからせてもいいだろう。
「帰ってきたな、金造」
「そやな、プレゼント落としたし」
「とりあえず待ち伏せでもするか?」
「おん!」
そっ、と奥村くんに頼んだものを手に持ち、待ち伏せをする。
「まさか柔兄が許すとは思わんかったわ」
「そか?楽しそうやったからな」
「金兄真っ白やな、白兄って呼んでやろかな」
「うまいな廉造、って来たで…気配消せや」
父にこっぴどく叱られうなだれている金兄に狙いを定める。柔兄とアイコンタクトをし、頷く。
いち、にの、さん!!
振りかぶって、俺は奥村くん特製ケーキ(勿論おいしい)を金兄の顔面へ投げ付けた。
「っ!?な、なん、っておいしいなあこれ…」
そして柔兄が用意していたクラッカーを引っ張る。「金造(金兄)誕生日おめでとうな!」
顔を真っ白に染めた、兄の頬はイチゴジャムがついたように赤に染まっていた。
ちなみに俺が作ったあのわっか。兄の部屋に飾ってあったのは見なかったことにしておきたい。
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111117
金造誕生日おめでとうおぁあああ!
私あほな金造好きよ!むしろあほで単純な金兄が好きよ!!
愛だけは勿論篭ってます。
あと弟から貰ったものはとっておいてそう。