もじ | ナノ
きっかけはイタリアの言葉だった。
「ねぇ…兄ちゃん、いつも兄ちゃんは"愛"を振り撒いてるけど"恋"をしたことあるの?」
"愛"と"恋"は同じようで似て非なるものなんだ、とそうあの子がいたときに学んだ。
彼女はそう、俺の中で大切なヒトだったんだ。
「兄ちゃん…涙出てるよ?大丈夫?」
「大丈夫だよ、イタリア。そうだな、"絶対に叶わない恋"をしたことはあるな…」
ああ、そうか、まだ俺は忘れられないのか。
あの子のことを。
あの子は俺の中での英雄であり救世主であり、そして…女だった。
もう、いないけど…ああ儚い命だったのか。
俺の恋も終わった、あの瞬間。
あの子には幸せになって欲しかった。
目頭があつくなってきた。
「イタリア、ちょっと一人にさせてくれないか?」
「別に、いいけど…兄ちゃん」
「大丈夫だから、また、な」
イタリアは走って俺の元を去った。
"恋"ねぇ…周りにはそう見えてたのかもしれないな。
あの子は急に現れ、すぐに消えてしまった。
女としての生涯を味合わずに、消えてしまった。
剣より花が似合っていた彼女。
彼女は何処にいったのだろうか
今彼女は笑顔なのだろうか

ぽつり、と俺は呟く "愛してる"と。
彼女に届いただろうか

俺は上を見上げ空に向かって微笑んだ。





100629
一回書いてみたかったあの子




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