もじ | ナノ
いつ見てもこの木は綺麗だ。
いつも俺はそう思う。
「ギルちゃーん」
「アントーニョ、遅刻かよ」
「そういうギルちゃんもやろー!」
俺は遅刻常習犯である、というよりも学校自体あまり好きではない。
アントーニョは俺の視線の先に気づいたらしく、何故かによによ笑っていた。

 * * *

ガラリ、と教室の扉を開ける。
先生が何かを言っているが気にしない。
授業中ずっと俺はあの木を見ていた。
「ギルベルト、何見てたん?」
「フランシス…授業終わったのか?」
「終わったも何も…今日は創立何千年記念日?らしいから午前中で授業終わりなんだけど?」
ヤバイ、聞いていなかった。
だから今日俺の弟が「なんで弁当用意してるんだ?」と聞いたのか、教えてくれればよかったのに!
「…あー、ギルちゃんやっちゃったか。大丈夫、お兄さんも同じだから。一緒に食べようか」
アントーニョは?と聞こうとしたら後ろに誰かが立つ気配がした。
「誰だっ」
後ろを振り返ると俺に目隠しをしようと企んでいた、アントーニョがいた。
「……ば、ばれてしもうたわぁ」
「で、お前は何しに来た」
「ひどいわぁ、ギルちゃんがなんかひどいわぁ」とフランシスに泣きついているアントーニョを無視し、その二人に先に行ってるぞ、と声を掛ける。
「…あそこ?」
「あぁ」
朝、遅刻しても絶対に見てしまうほど美しい桜の木。
そこで俺たちは昼飯を食べることにした。
先に陣取りをし、二人を待つことにした俺は下から上に桜の花を眺めてみた。
少し、葉桜があるがまだピンク色の綺麗な花がひらり、ひらりと散っている。
「ギルちゃーん!」
「ギルベルト!」
二人がやってくる。
何故か凄い量の荷物を持って。
「…手伝えってか?ふざけんじゃねぇよ!ケセセセセ…」
俺はいつも通りに高笑いをし、二人の下へかけた。
手伝うつもりはひとつもないけれど。

校庭の桜の下

「…この桜の木、誰が植えたんだろうな」
「多分菊じゃないの?」
「でも校庭に植えるってすごいわなー」
俺たち三人組は校庭の桜の木の下でご飯を食べた。





090815

青春っていいよね。

青い春、様への提出


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