もじ | ナノ
チャイムがなった。
始業時間だ。
でも、俺はゆっくりと歩いてゆく。
後で弟に怒られるか…と思ったが気にしないこととする。
近道を通る。
周りを確認する。
誰もいない。
それは当然か、と思い直し堂々と壁を跨ぐ。

柔らかいモノを踏んだ。

それはそのはずいつも使っている踏み台(ゴミ箱)はなく、かわりに生徒会長を踏み付けていたからだ。
「…ヤベ―…アーサーを踏み付けてしまった」
アーサーは、怒らすと怖い生徒会長。対処の仕様がない。
「…どうするか…保健室に行くか」
しょうがないので俺は、なんの重みもない生徒会長を担いで階段を上った。

 * * *

保健室前まで来たら貼紙みがしてあった。"ギルベルト侵入禁止!"

…は?と思った。
…保健委員がエリザだったから毎日来たのがまずかったのだろう。
アーサーを置いて逃げて行ってやろうか、とも思ったがやめた。
コレは自業自得だと思ったから。
「…しょうがねぇ…いつもの場所行くか」
生徒会長様々を背負い最上階に辿りつく。
「アーサー、おい。起きろ!」
俺はしょうがないと思い頬を引っ張ったり、叩いたりしてみる。
「…んぁ…ん…」
チュッと軽いリップ音が響いた。
いや、俺はやっていない。
向こうだ、向こうがやってきたんだ!
俺は、ズザァという変な音をたてながら後ろへ下がる。
その音で気付いたのだろうか。翠色の瞳が俺をとらえた。
「…ギ、ギルベルト!!てめぇ…って此処屋上じゃないか…」
「お、おぅ。気分は平気みたいだな…じゃあ俺は教室に戻るぜ!」
何故かあいつの顔を見るのが恥ずかしい。いつもは憎たらしいはずなのに。
「そうか。じゃあな」
向こうは笑顔でこちらを見て手を振っていた。
キィと対して重くない鉄扉を開け、階段を下りる。
…嗚呼もう恥ずかしい。

今後あの道は通れねぇな…そう俺様は考えた。



090617

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拝燐火


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