もじ | ナノ
※学パロ、同級生


周りは浮足立っている。
ああ、そんなに欲しいのか…

おかえしが!

別にいらないんじゃないかなーって思うよ!

あっ、私は一応あげたけど!
義理じゃないのあげたけど!

…逃げちゃったけど…

あげたけど恥ずかしくて逃げちゃった…。


  ***


「あっ、あげる!」
「ん?誰かと思ったら名字か…」

ちらり、とこっちをみた赤い瞳。

「…なあ、名字これ貰っていいのか?」

「あっ、あんたの為につっ、…なんでもない!じゃあね!」

言えばよかったのに、言えなかったこの気持ち。
チョコ割れてなきゃいいけど。
そんな下らないことを考えながら、走っていったんだ。
恥ずかしくて、顔を見せたくなかったし。

「おーい名字!貰ってくぜー!」

遠くからあいつの声が聞こえた。
ケセセ、と喜ぶあいつの声。

好き、好き、好きなの。

気づいて、私の気持ち。


   ***


「いやぁ、しっかし名前ちゃんがギルちゃんのことを好きとはねぇ…」
「ほんまやで!俺かて名前ちゃんのこと好きなんに!」
「ケッセセー!まじかわいい!まじ名前かわいい…逃げられたけど…」しゅん、とうなだれるギルベルト。
しょうがない、優しいお兄さんがアドバイスしてあげようじゃないか。

「自分の気持ち、伝えてみれば?ほら、つい逃げちゃったとか乙女心満載じゃない」
「そうか?」
「そうやないの?」

アントーニョまで一緒になってギルベルトに言う。
さぁ、この小心者はどう返答するんだろうか。


   ***

「お、いたいた名字!」

いきなり名前を好きな人に呼ばれ、どきんと心臓が跳ねる。

「何バイルシュミット?」

えーとな、とかいいながらはにかむ顔。
かわいい。

「えーと…あのな。この前のチョコうまかった…ありがとう」お礼を言われちょっと照れる。

「で、あのな。…あ」

なんだろうと思ったら、手首をつかまれていた。

「ごめん、ちょっと場所かえるぜ!」
「えっ 何?」

たたた、と駆けるバイルシュミット。
私はその後を追う。

「んー…この辺りでいいかな」
「はぁ…はぁ…」
呼吸が無理。酸素足りない。

「あー…ごめんな名字」
「あ、はぁ…べ、べつに…へーき」

少し息が上がっただけだよ と彼にいう。

「そうか。あ、でな。この前はありがと。んでな…えーとあれって告白っていう意味で受け取っていいのか?」
「っ!そ、そう、だけど」
「そうか!!」

彼は満面な笑みを浮かべる。

「えーと…俺お前のこと好きだ。付き合ってくれ!」






110404
改変してあぷ


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