もじ | ナノ
「お前から俺は散々な目にあわされた…」
「ヴェー?そんなことないよぉー」
…いや、そうだと信じていきたいのだが…。
無理だ。信じきれん。
「…ヴェー。ルート、ルートお腹減ったなぁっ、パスタ食べたいなぁ〜」
「白旗作ってるだけなのにか?」
現在コイツは一生懸命(他のとこに一生懸命になって欲しいが)、白旗を作成中だ。
「俺、あの朝ごはんじゃたりないんだよぉ…っいて」
プスリ、そんな音はしないが針が指に刺さり、じわぁっとフェリシアーノの血が真っ白な旗に吸い込まれ赤くなる。
「うわぁっ、一生懸命作ったのに、ルートの分だったのに」
「俺のは作らんでいいっ」
何がやりたいんだ、こいつ。俺はそう思いながらフェリシアーノのほうを見る。
「ルートッ、ルートッ。血がっ、血がっ」
「…あせらんでいい。舐めれば直る」
それでも焦っているフェリシアーノを見ながら俺は嘆息する。
「痛いよぉぉぉ…」
指の血管のところにでも刺さってしまったのだろうか、もの凄く顔を歪めている。
「ルートォォ…」
「手、貸してみろ」
フェリシアーノはキョトンとした顔で俺を見上げ手をさし出した。
「え、ちょっ、ルートッ。な、何して」
フェリシアーノは顔を赤らめながら、いや、涙目な目を俺に向ける。
「舐める、といったじゃないか」
「え、そんなこといってなかったじゃない」
「言ったぞ」
確かに、"舐める"とはいってはないが"舐めれば"とはいった。でもこいつは自分のことでいっぱいいっぱい。
ならば、と思って俺はフェリシアーノの手をとった。
浅い傷口を眺め、あんまり痛くないのでは?と思いつつも舐める。血を。フェリシアーノのものを。
「べ、別に舐めなくても…絆創膏でいいんじゃないの」
俺は、指を離し「絆創膏というものがないからやっているんだ」といって、終わりにした。もう血は浮かび上がらないはずだ。
いつも、いつも俺に迷惑をかけるフェリシアーノは俺の顔を見上げ"あ、ありがとう。ルート"と言ってくれた。
へタレといえば、へタレだが、俺にとっては足手まとい。
でも、こいつがいないと、俺は困る。
そんな日が長く、短くも続く。







080325
PCサイトのほうのお題から抜粋。


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