タケシに呆れられるのも、ケンジにからかわれるのも、シゲルに憐れみの視線を向けられるのも(こいつが一番ひどい)、もう今日で終わり!
誰が何と言おうと、私は成長してみせるわ。
素直じゃないなんて言わせない。
どうせできっこないんだ、なんて顔をしているそこの三人、見てらっしゃい!
「サトシ。」
「ん?」
「…あ、」
「あ?」
「あ、あ、あ…」
「なんだよ、はっきり言えよ。」
「あーもう無理!」
「どうしちゃったわけ?」
「…ありがとうっ!」
「…は?なにが?」
「もう、なんだっていいでしょ!日頃お世話になってるお礼よ、お礼。」
…本当に言いたいこととはちょっと違っちゃったけれど、当たらずとも遠からず。
充分頑張ったわ、カスミ。
そうよ、いきなり初心者がエベレストに登るなんて無理なのよ。まずは手頃な高尾山あたりよ、高尾山。
「…可愛くないなあ。」
「う、うるさい!」
「カスミ。」
「なによ。」
「…あいしてる。」
「…!?」
いねむりうさぎ
(ゴールに近いのはどっち?)
* * *
サトシくんはいつの間にかこっそり、カスミより成長してると思う。