gift小説 | ナノ

「チョッパー、ここにいたのか」

チョッパーは声をかけられて驚いて顔を上げると、目の前にはブレイズが立っていた。

「そんなに驚くな…」

目を丸くしているチョッパーに、ブレイズは柔らかく微笑んだ。

「帰ったのかブービー。…悪い、出迎えするつもりだったんだがなー」

「俺も、絶対お前が滑走路で待ってると思ってた」

ブレイズが言うと、チョッパーは小さく笑った。
笑って…いるのだが、表情が硬い。
どうかしたのかと思ってブレイズは首をかしげたが、チョッパーは直ぐに手元に視線を戻してしまった。

「バイク、調子悪いのか?」


チョッパーはC格納庫の裏にある、“秘密基地”でバイクの様子を見ていた。
しゃがみこみ、念入りに点検しているように見えるが、実際はただボディを磨いているだけのようである。

「いや、いたって快調だな。ブービーのも見といたぞ。そっちも絶好調だ」

「…そうか。ありがとう」

チョッパーはあまりブレイズと目を合わせたくないらしい。
念入りに念入りに…それはもうしつこいほどに同じ場所を磨き続けている。
手は動いているが、頭は別のことを考えているようだ。


「調子がよくないのはお前の方みたいだな、チョッパー」

「っ、!!」

ビクッと、チョッパーの肩が跳ねた。
同時に、彼の手が止まる。

「な、なに言ってんだよブービー!オイラはいつも通りだって!」

チョッパーはわざと明るい大きな声を出して言った。
止まっていた手は、先ほどより忙しなく動き始めた。

ブレイズはそんなチョッパーを黙って見ていた。
チョッパーはいつも明るい男だ。
周りが落ち込んでいるときは元気をくれる。
かといって変に空回りな元気を出すわけではなく、相手の心を読んでくれる。
真面目な質問には、言葉を選んで丁寧に答えてくれる。
隊長であるブレイズでは立場上言えないことも、チョッパーは察して代弁してくれることもあった。

そんな彼の様子が、明らかにおかしい。


「…ああ、そうだ。お袋がアップルパイを作ってくれてな、持ってきたんだ。後でナガセ達も呼んで俺の部屋で食べよう」

「…おー、ブービーの母ちゃんのアップルパイかぁ、こりゃあ楽しみだな!」

「それから、おやじさんを知らないか?用事があるんだけどな…」

「ん〜…昼から見てねぇなぁ。格納庫のどれかにいるとは思うけどな」

「そうか。……さっき、廊下でも見てないって言われたな、…サンダーヘッドに」

「サン…!!」


再び、チョッパーは肩を跳ねさせ、手は止まった。
だが、今度は先ほどよりも反応が大きい。
“サンダーヘッド”の名で反応したのは明らかだった。

「…………………」

「…………………」

「……なぁ、チョッパー」

「な、なんだ…?」

「お前、もしかして…」


ブレイズは話しかけながら、チョッパーの顔を覗き込んだ。
チョッパーの視界が、肌色に…染まる。

唇に、ぬるっとした柔らかい感触。




「……サンダーヘッドに、こういうことされた?」



ブレイズの顔が目の前にあることも、唇の感触も理解するのに時間がかかったが、自分の唇にかかるブレイズの吐息が妙に生々しくて…、



チョッパーの記憶に深く染み込んでいった。



SUNSET
(サンダーヘッドも油断できないな…。)
(ブービー!ど、どこ触って…!!)

――――――――
大変遅くなって申し訳ありません…!
要様にお捧げします、サン→チョパ←ブレです^^
やたら長くなってしまいました…;
あんまりラブラブなシーンがなくてごめんなさい;
まだ、始まりなんです、きっと笑
これから火花バチバチのトライアングルがサンド島で(2828
時間軸としては、まだわりと暇な大統領誘拐前かなーと
ブレイズが実家に帰る暇なんて…ないですよね笑

初めてのACのBL小説ですが、こんなものでよかったらお持ち帰りくださいませ^^

要様、本当にいつもありがとうございます!




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