「……シズちゃん、から」
動揺と戸惑い。2つが交わり、心拍数は上がっていく。だが、メールを開いた途端その感情は消えてなくなった。
『うっせーな。今起きた飯食ったか』
なんともバラバラな文章。全然まとまってなくて、単純な文章。そんな印象を与えた。文章は相変わらず短い。
これじゃ緊張してた俺が馬鹿みたいじゃんか。そんなことを思いながらも、シズちゃんから送られてきたメールに思わず笑みがこぼれる。シズちゃんらしいかもしれない、なんて。
「ほんとうに、わからない男だ…」
行動もメールも、シズちゃんの事は全然推測できないん。俺はくすくす笑いながら、返信用の文をさらりと一文を書き上げる。
『おーはよ(゚▽゚)/まだご飯食べてないよ』
今、シズちゃんとなにげない会話してるんだよね。こんなことをシズちゃんとする日が来るなんて思ってもみなかった。会って、喧嘩しかしない俺たちだ。会話だって成り立たない。
『死ね』だとか『殺す』は、会話の内に入らないだろう。
俺が出会いを間違えていなければ――俺が歪んでいなければ、シズちゃんの友人になれたのだろうか。
「今更遅いかもしれないけど」
俺は静かな部屋でぼそっと呟き、そっと送信ボタンを押した。
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