出会ってしまった。
恋をしてしまった。

この地上のセカイに、まるで化け物のような力を持った人物がいたなんて。
衝撃的な、初めての感覚が体を渦巻いた。電流が流れたような、痺れる感覚だった。

――俺は人間じゃないよ。
引かれるか、冗談に受け取られるか、はたまた拒絶されてしまわないだろうか。正直不安だった。しかし彼は本当の事実伝えた時、化け物は笑った。初めて見せてくれた笑顔は眩しい程のもので、同時に胸が高鳴るものを感じた。
――何言ってんだ。そんなの関係ねぇだろ。
彼は、行き場のない俺を自宅に招いてくれた。

「ねえシズちゃん」
「あ?なんだよ」
「俺の存在が何なのか…知ってるよね」
「カミサマなんだろ?あんま実感湧かねえけど」

シズちゃんはたばこを吸いながら淡々と話す。
そんな簡単でいいのだろうか。事実や過去を話してもシズちゃんは「ふーん」「そうか」「ああ」こんな曖昧な返事しか返さない。
――なんでだよ。何故そう簡単に受け流せるのだろう。いつだったか、特殊な力を見せて信じさせようとしたけど、結局、いつもと同じだった。
特別扱いしてほしいわけじゃない。ただ、俺は君に俺の存在を認めてほしいんだ。

「なに拗ねてんだよ」
「…別に。拗ねてないし」
「拗ねてるだろ」

シズちゃんは俺の髪をわしゃわしゃ撫でまわし、「どうしたんだよ」と顔を覗き込んだ。シズちゃんはなんだかんだで心配してくれる。きっと元からお人よしなのだろう、そう思った。

「プリン食うか?」
「…いらない」
「羊羹あるぞ」
「…いい」
「じゃあほら膝、ここ座れ」

あぐらをかいているシズちゃんは、手招きをして俺を呼び、俺を自分の足の間に座らせた。
満足なのか、シズちゃんは顔を綻ばせる。
――俺よりも満足してどうすんの。
そんなことをぼんやりと思いながら、俺はシズちゃんの大きな胸板に体重を預けた。今はただ、こうして居たい、そう感じたのは初めてだった。







リクエストありがとうございました。詳しい設定を頂いたのに、それを活かせなくて自分の無力さを感じました…!!ご本人様に限りお持ち帰り、リテイク受け付けます。
ありがとうございました!

201102016
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