どんな日でも、耳を塞いで、口を閉じて、身を縮こませても、やって来る。大事な日なら何より、真っ正面から向かい合わないといけない。
なのに、何故この上司はその事を認めようとしないのだろう。

「あのね、好い加減しつこいわ。大体今日の午後誠二と会う約束しているから、仕事はほとんど私が片付けたのよ」
「はっ!?ちょ今日まとめて片付けるからやらなくていいって言っておいたじゃないか!」
「怒鳴らないで頂戴。仕事を片付けてあげたのだから寧ろ感謝すべきでしょう。あら、それとも、今日仕事をしなければいけない理由でもあるのかしら」
「ッ」
「折角なのだから、遊んできたら?最近池袋にも足を運んでいないみたいだし、調度良いじゃない」

何もかもわかっているかのようにそう言い放つと、折原臨也はわかりやすく動揺する。
否――実際、この恋に臆病なこの上司が因縁の仲である平和島静雄とやらに恋情を抱いている事は言わずともわかる。尚、ここ最近は特にカレンダーをただひたすらぼうっと見つめたり、話し掛けても気付かなかったりとかなり上の空の状態だった。
――こんな調子で仕事をされても困るわ。
しかし、わからないのは平和島静雄の誕生日を避ける理由。何故、わざわざ。
それに、私が見る限り平和島静雄とは険悪な仲ではなかった。
池袋でも平和島静雄が穏やかになったと言われる程で、以前休日を貰った日に忘れ物を取りに行った時、最悪にも平和島静雄と折原臨也が如何にもな雰囲気に鉢合わせした事がある。

その様子を冷めた目で見ると、折原臨也はまず慌てた様子で平和島静雄に「部下だよ」と伝えたのだ。
思わず笑ってしまう程に折原臨也が真っ赤になっていて、平和島静雄も満更ではないように私の事を睨んでいた。
――残念だけど私の全ては誠二の物だから安心して。
なのに、平和島静雄の誕生日が近付く度にこの様子である。それとも、今までの事があったからこそなのだろうか。
その事実は到底分からないし、正直あの上司の恋愛事情等どうでもいい。

「行かないの?」

しかし、うじうじしている此奴を見ているのは非常に不愉快だ。折原臨也は投げかけた私の言葉の意味をわかったのだろう。
ビクッと肩を揺らす。だが折原臨也はしらを切るように「なんの事かな」と震えた声で呟いた。

「惚けるのも好い加減にして。彼、待ってるんじゃないの?」
「……待ってる訳ないだろう。今頃同僚と仲良しごっこでもしてるんじゃないかな?」
「貴方ね、バレてないと思っているだろうけど平和島静雄のプレゼント、あるんでしょう?渡さなくていいのかしら」
「…ッ!」

折原臨也は俯いて、黙り込む。実際、プレゼントは大事に何処かへ閉まってあるはず。
――私も誠二の為に何時間もプレゼントを選びまわったものね。
愛する人の為に。

「ほら、行きなさい。鬱陶しいわよ」
「――俺はシズちゃんのこと祝える立場じゃな、」
「あらそう。なら行きたそうに窓の外を見詰めているのは何故?好んでもいない甘い物を何度も練習しているのは何故?全部彼の為じゃないの?」
「――」
「もう行きなさい。たまには失恋したっていいんじゃない。私は慰めてあげないけれど」
「ははっ……波江さんには負けたよ、お手上げだ。――ありがとう」

行ってくる。引き出しからリボンが付いたピンクの袋プレゼントを取り出して、コートを着込んで飛び出していった。
――結果はそうね。貴方次第かしら。できる事なら慰める事はしたくない。だってそうしたら、折角の誠二との時間が減ってしまうでしょう?
ああ早く誠二に会いたい。








\SIZUO HAPPY BIRTHDAY!/
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20120126
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