「ひまだなぁ」

ベッドに横たわりながら、静かな部屋でぽつりと呟く。
現在、来神高校は冬休み真っ最中である。来神に限らず、ほとんどの学生は冬休みを堪能しているだろう。
課題は全て熟したし、これといってすることもない。
これならまだシズちゃんと喧嘩していた方が楽しかったかもしれない。シズちゃんと居た方が――。珍しく俺らしくもないことを頭に思い浮かべ、ため息を吐く。その時、ケータイの着信音が鳴り響いた。誰だろうか。
俺は通話ボタンを押し、ケータイを耳にあてる。

「もしもし」
『――私です、折原さん』
「あ……四木さん。お久しぶりです」

四木さんがこんな時間にら電話をくれるなんて珍しい。急用の依頼だろうか。それとも、俺が何かまずいことをやらかしてしまったのか。

「四木さんからお電話頂き嬉しいです。ところで、何か御用が?」
『折原さん、今大丈夫ですか』
「はい。大丈夫ですよ」
『なら、私の所へ来て頂けませんか』
「構いませんよ。内密な依頼ですか?」
『仕事ではありません』
「――え?」
『個人的に貴方を呼んでいるのです。どうせまた喧嘩人形のことを考えていたのでしょう』
『―――』

図星とまではいかないが、冬休みシズちゃんのことを考えていたのは確かで、四木さんからそう問われた時には一瞬息が詰まった。四木さんはそれを察したようにふと笑い、

『精々可愛がってあげますよ。喧嘩人形のことなんか忘れるくらいにな』

そう電話越しに囁いた。






20120102
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