夢心地
穏やかな朝。
目を覚ますと、最愛の恋人──臨也さんが俺の腕の中ですやすや眠っていた。
芸能人という仕事上、あまり休みが取れないのだが、今日は久々一日中オフだ。
さらさらとした黒髪を撫でると、臨也さんは「んぅ…」と微かに声を漏らす。あどけない寝顔は無防備で、とても愛しい。
──幸せだ。
この一言で、今の想いを表現出来る。
マネージャーが「たまにはゆっくり休めよ」て与えてくれた休み。
俺はさっそく、『オフができたので会えませんか』。そう電話で伝えた。もちろん臨也さんに。
しかし臨也さんは『…貴重なお休みなのに、俺なんかといっしょに居てもいいの?』と臨也さんはどこか切なげに問い返す。俺なんか、だなんてまさか。
臨也さんに真っ先に会いたいと思い、真っ先に知らせたいと思ったのに。
気が付くと口に出していて、臨也さんは電話越しに照れたように笑い、『ありがとう』と言った。
誤解されやすいけど、本当はとても繊細で可愛いひと。
きっとしばらく会えないうちに不安にさせていたのだと思う。
起きたらなにをしようか。
一緒にご飯を作って食べるのもいいけど、まずは愛の言葉を囁いて、存分にキスをしよう。
あなたが居てくれるだけで幸せなんだから。
20111207