らぶゅあ | ナノ


半分こ





「あ、」

──不運だ。
11月の中旬。外の気温は低く、季節はもう冬を迎えようとしていた。
そんな昼下がり、ノミ蟲こと折原臨也とばったりと遭遇した。
……コンビニの袋をぶら下げている折原臨也と。

「…なんだそれ」
「はぁ?出会い頭にそれ?他に何かないの?」
「コンビニ行ったのか」
「…どうやら会話通じないみたいだね。そうだよ、コンビニに行ってきた」
「手前もコンビニ行ったりすんだな」
「さりげなく失礼なこと言わないでよ」

はあ。臨也はわざとらしく溜息を吐く。吐いた息は白く、冬なんだということを実感させられる。

「そういう意味で言ったんじゃねえよ。感心してんだ」
「へえ、なんでだろう。嬉しくない。てかどうしたの?今日おかしくない?喧嘩しないなんて」
「調子狂った」
「ははっ変なの」

臨也は声を上げて、クスクスと笑った。胡散臭くて、わざとらしい笑みじゃない綺麗な笑顔。
いつもこんな笑顔を見せてくれたらいいのに。つられて俺も笑った。

──あ。
ふと気づく。よく見ると、臨也の鼻が赤くなっていた。寒さのせいだろうか。もしかしたら、寒さに弱いのかもしれない。

「鼻」
「え?」
「鼻、赤ぇな」
「………っるさい」

気にしていたのか。ぷい、と顔を背け、ギリッと睨んだ。怖くもなんともないが、こいつのことだ。馬鹿にされたと思っているのだろう。当然馬鹿にしてるわけもなく、むしろ可愛い、なんて思ってしまった。

「──寒いのか」
「当たり前!寒くない方がおかしいよ!」
「なら」
「?」
「暖めてやるよ」

にやり、思わず口元が緩んだ。「えっ……ちょっと!?」という焦りの混じった臨也の声は無視。
俺は臨也のもとへと容赦なく歩み寄り、そして、臨也の冷えた体を勢いよく俺の胸へと引き寄せた。臨也は足元を不安定にして、倒れ込むように俺にしがみつく。

「ぅ、わ……」
「これでちょっとは温まるだろ」

冷たく冷えた体を包み込む。臨也は俺の体にすっぽりと収まり、改めて体格差を実感した。
臨也は抵抗はせず、ただただ驚いている様子だ。

「……何この状況」
「知らねえ」
「……子供体温」
「るせぇよ」

抱きしめた体は細くて壊れそうで、力加減がわからなかった。女相手でもない。ましてや天敵なのに、なぜ壊れ物のように大事に扱っているのだろうか。それは俺にも、きっと臨也にもわからないことだろう。
そんなとき、抱きしめた臨也の冷えた体がだんだん徐々に熱をもってきて、気になってふと臨也の顔を見れば微かに顔が赤くなっていることに気付き、笑えば足を蹴られた。

「離して」
「いやだ」
「肉まん冷める」
「買ったのか?」
「うん。だから、」
「いやだ」
「………半分こ」

「……しょうがねぇな」








このまま肉まん食べながら静雄の家に行ってラブラブしたと思います。ギリリ。

2011111
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