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みらいよそう








「臨也」
「ん」
「寒くねぇか?」
「うん。俺はへーき」

俺が頷くと、シズちゃんは「そうか」と呟く。
そんな俺たちは、クーラーの効いた部屋で互いにくつろいでいた。
夏ももう終わりだというのに、まだ暑い。残暑、というものだろうか。

「シズちゃんは?寒くない?」
「ああ。寒くなったらすぐ言えよ。腹冷やすからな」
「もしかして俺のこと体弱いと思ってる?」
「違うのか」
「違うし」

俺はふん、とふて腐れるように顔を背ける。俺のことなんだと思ってんだっつーの。

「ほんの一ヶ月前、風邪ひいて寝込んだのはどこのどいつだっけか?」
「………知らない」

それとこれとは別である。
風邪をひいたのと、体が弱いのとは全く意味が違う。この前の風邪はただのまぐれだ。一時的な免疫力の低下が原因であって……と、つらつらと理屈を並べていてはシズちゃんに怒られるので口には出さないでおくことにした。

「冬はこたつでも買うか」
「そろそろ寒くなる頃だもんね」

冬の寒さを思い出しながら、ぼんやりと何もない方を見つめる。
去年はシズちゃんの好きなホットココアや、肉まんをたくさん食べて、初めて手を繋いだ。なんだか思い返すと、とてつもなく恥ずかしくなってくる。

「なに顔赤くなってんだよ」
「赤くない!……ただ去年の冬を思い出してただけ」

そう言うと、シズちゃんは突然俺の肩を引き寄せる。
その行動に俺は戸惑いながらも抵抗はせず、何も言わずにシズちゃんに体を預けた。

「きっと今年も来年も5年経ってももこうやって幸せにやってんだろ。美味いもん食って、デートして、こうやって一緒にいれればそれでいい」
「シズちゃんて、たまーに恥ずかしいこと平気で言うよね……男前っていうかなんていうか」

俺にとっては心臓に悪い。
そんなところも、シズちゃんの魅力なのだろうけど。俺はため息を吐いた。

「でもなんで5年後も一緒に居るって決め付けてんの。そんなの限らないじゃん」
「それはありえねぇな」
「えー?」
「俺たちはずっと一緒にいる運命なんだよ。だからもしお前が離れようとしてもお前は俺から離れられねぇんだ」
「あは、何それ」

全く根拠のない自信がおかしくて、俺はふふ、と笑いを零した。

「でも、そんな運命なら信じてもいいかも」

そう告げると、シズちゃんは「そうか」と微笑み、俺の黒い髪にそっと唇を落とした。

ずっとシズちゃんと共に歩けますよーに。















20110914
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