うわきしず4 | ナノ







I Am seen.
side:静雄








「はぁ!?臨也の行方がわからない!?」

思わず俺は立ち上がり、声を荒ぶった。新羅は今にも暴れだしそうな俺を嗜めながら「落ち着いて」と俺をソファに再び座らせる。

臨也から「家に帰れない」と言われた時から、約2ヶ月は過ぎ、さすがに俺も心配になってきた。しかし電話しても電源を切っているようだし、連絡を取ろうとも取れない状況にいた。
 そのため仕方なく俺は新羅から臨也の居場所を突き止めるため新羅の自宅へやってきた。俺よりも新羅の方がそういう仕事の繋がりがあると判断したからである。
だが、そこで新羅から聞かされたのは「臨也ならたぶん東京にはいないよ。僕にも居場所がわからないんだ」という耳を疑う言葉だったのだ。俺は眉間にしわを寄せ、「どういうことなんだよ」と問う。

「まさか危ねぇことにでも巻き込まれたとかじゃねぇだろうな」
「そうじゃないんだ」
「は?」
「そうじゃない」

新羅は珍しく険しい表情をして言い放った。

「臨也は知ってるんだ。君が複数の女性と関係を持っていることを。臨也は君に愛されてないと思ってる」
「──!」

嘘だろ。俺は一瞬、頭が真っ白になり、言葉を失う。

「いつから…」
「臨也がいなくなる4日前かな」
「でも普通だった」
「装っていたんだよ」
「じゃあなんで俺を責めなかったんだ」
「それは臨也に聞いてみないとわからない」
「──」

シン、と部屋が静まる。
俺は絶望感に陥れていた。女性との関係が知れてしまったからではない。臨也を傷つけてしまったこと、それが一番ショックだった。

「君のしたこと、わかってる?」
「……ああ」

俺は言い訳をせず、素直に頷く。言い訳をしても俺の犯した罪は消えない。
来神時代、臨也に"一生大事にする"と言った、"傷つけないから"と。なのに、俺はそれを破った。
恋人同士になれた時のあんなに嬉しかった気持ちを忘れてしまったこと、まともにデートすらしてやれなかった自分を憎んだ。
臨也を傷つけてしまった。その代償はいくらあっても足りないのだ。

「ほんっと馬鹿だな……俺」
「そうだね」
「…臨也に会いたい」
「それで、どうするの?」
「自分勝手だが、まずは謝りたい。謝り続けて、アイツを抱きしめたい」
「そう。臨也が好きかい」
「──あぁ。今までなんで忘れてたんだろうな。アイツのことこんなにも好きなんだって」

俺は自分の胸に手をあてると、一番大切なのは臨也だと再確認させられる。

「ねぇ」
「?」
「居場所がわからないと言ったけれど、連絡を取れないとは言ってない」
「──!」
「つまりどういうことかわかるね。どうする?静雄」

その問いに、俺は迷うことなく頷いた。
今会うのを躊躇ってしまえば、本当に終わりだ。

許してもらえるかわからない。けどな、必ずお前を迎えに行くから。
待ってろよ、臨也。










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20110825
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