‖呆れるオオカミさん
ある日。
どん。そんな音をたてて、俺の恋人──臨也さんをソファに押し倒した。
「どうしたの突然」
目をまるくし、きょとんとした表情で俺を見る。仮にも恋人だというのにこの反応はどうなんだろうか。
そんな姿を見て、俺は心底呆れた顔をし、その後わざとらしく大きくため息を吐いた。
「あんたは俺がこわくないんですか」
「こわくないよ。信じてるから」
へらっと笑い、即答といってもいいような早さで言葉を返す。俺は臨也さんの頬に手を添えると、臨也さんはくすぐったそうに身を軽くよじらせる。
「信じてもらっちゃ困るんですけど」
「なんで?」
「男はみんなオオカミだろ」
「俺も男だよ」
「あんたは喰われる方だ」
そう言うと、臨也さんは「ふーん」と一言言って軽く頷いた。
つまり、俺が言いたいのは俺はオオカミなんだから用心しろ、ということなのだが、この様子じゃ伝わっているかどうかわからない。
それともわざとなのか。そうなのか。
「──ねぇ紀田くん」
「正臣って呼んで下さいって何度も言ってるでしょう」
「正臣くん?」
「はい」
俺は納得して相槌を打つ。
すると、突然臨也さんが微笑み、
「すき」
それだけ言った。
「…食べられたいんすか」
「すき」
これでは、まるで会話になってない。
臨也さんの頬の添えられている俺の手の上に、臨也さんの手が重ねられる。
その手がほんのり温かみがあり、俺はすぐ原因に気付いた。
「アンタ眠いでしょ」
「んーん…」
普段この人の手は冷たい。
そのため、たぶん眠気から思考がうまく働かなくなっているのだろう。
──大事な時にこの人は。
それでもこの人を可愛いと思ってしまう俺は、大分末期だと思う。
「すきだよ………」
「──ああそうですか」
「すき…だから…」
「寝てください」
「ん……」
おやすみなさい。
そんな意味をこめて、俺は臨也さんに唇を重ねる。
それと同時に、臨也さんは夢の中へ入っていった。
甘くなっているでしょうか?
甘々で正臨ということで好き勝手にやっちゃった感がありますがとっても楽しかったです!
でも相変わらず臨也さんが鈍感ですあはは!
この先は臨也さんが顔真っ赤にしながら「──食べても…いいよ?」な展開があるといいな!
今度は振り回される乙女臨也さんで正臨を書いてみたいです!リクエストされたご本人様に限りリテイク・お持ち帰りOKです!
リクエストありがとうございました!
20110708