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渡さねぇよ!!1








今日もいつものようにケンカしあっていただけのはずだった。なのに、だけだというのに――…。

「折原、今日も可愛いな」

なぜ臨也が知らないやつに口説かれているのだ。

「え………?」

まだ状況を把握しきれていないのか、口説かれている張本人、臨也は今だ戸惑いを隠せないでいた。
相手は言葉にしづらいが、とにかく怪しい。顔はお面で隠してあって、どこか奇妙な印象を与える。

「折原?いつもの勢いはどうした?」
「えっ…え?九十九屋?」
「だったらどうする?今日のパンツ似合ってたぞ。色は確かピ、」
「ぎゃあああバカァァァ!シズちゃんの前でやめてよ!もう!バカ!」

臨也は顔を真っ赤にして相手の男の足を蹴る。このやり取りからして、どうやら知り合いのようだが、なぜ臨也のパンツの色まで知っているのだろうか。
もしかして恋人のような関係だったり――いや、ないない。
臨也も相手も男だし。

「おい……誰だよそいつ」

低い声で問い詰めると、臨也は少々沈黙を設け、やっと口を開いたと思えば、
「……知らない人」と目を逸らしながら言った。

嘘つけや。

「知らない人とはひどいな、俺は今日の朝食から、折原の女装姿まで知っているのに」
「気になるな……」
「実は折原は朝食まだ食べていないんだ。体壊すぞと何度言っても聞かない。女装姿なら写真があるぞ。」
「ああ?マジか」
「ちょ、シズちゃん話に乗ってきちゃだめでしょ。ていうか余計な事しゃべんな」

臨也がそう言っているにも関わらず、俺と怪しい人物との話を続けた。どうやら本当に九十九屋というやつは臨也のことを何でも知っているらしく、俺の知らない一面を知って、臨也のイメージが多少変わった。

――思いの外、話が盛り上がってしまったのだが、その間臨也は「もういや爆発したい」と顔を真っ赤にし、ぶつぶつ呟きながら頭を抱えていた。










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続きます。


20110626
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