無邪気に笑う | ナノ






無邪気に笑う







俺、大学生活真っ最中の俺は、先週から俺は知り合いからの頼みで小学生の子供を預かった。

「臨也!」

しかも、それが妙なことに俺に懐いているのだ。
くっついては離れない。そんな生活がここのところ毎日続いている。

「ち……ちょっと、離れてよ、」
「なんでくっついちゃだめなんだよ?」
「課題まだやってな、」
「うそつけ、それ昨日やったばっかだろ」

こいつの預かり期間は約3ヶ月。詳しくは聞いていないが、海外出張だとか何とか。
しかし、この状況がまだ続くと思うと、思わずため息がもれた。
その子供──平和島静雄が信じたくないけれど俺よりも子供ならではの余裕があって。それに加えベタベタされて俺の気を狂わせるし、どれだけ俺を困らせるつもりなんだろう。
なんだか何とも言えない複雑さが嫌だ。

「ねぇ、シズちゃんはなんでそう俺に懐いてくるの?何かあげたわけじゃないし、優しくした覚えもないよ?」
「してねぇしな」
「じゃあ何?」
「てめぇがおどおどしてんの見るの楽しいからに決まってんだろ」
「は!?」
「嘘だからそんなムキになんなよ」

コイツ……小さいくせに。なんてそんなの今更だ。
そもそも預かった時からそうだったのだ。意味もなくこうやってベタベタと懐いてきて、本当、わからなくなってくる。

「いい加減にしてよ」
「……臨也?」

シズちゃんが目をまるくして俺の顔を覗き込む。
しかし俺はそんなシズちゃんを軽く押し退け、顔を背けた。

「俺、ベタベタされるの嫌いだから」

「オレはうそは嫌いだ。それそろオレのことちゃんと見ろよバカ」
「あ……」

俺の目から一滴の涙がこぼれたのをシズちゃんがぺろりと舐め、「しょっぺえな」と俺に言うと、暖かくて優しい手が俺の髪に触れる。
さっきはごめんね。そう俺は恐る恐る謝ると、シズちゃんは無邪気な笑みを見せながら、「かわいいから許す」と生意気に言葉を返した。








甘えられるのが初めてで慣れていない臨也さんと、臨也ラブな子シズのお話でした。それからまた何年後の話も書きたいです。蜜豆豆太さま、貴重なリクエストありがとうございました!
リテイク共に受付けます。また、リクエストを頂きました本人に限りお持ち帰り可です。

20110510
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