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Happiness

‐幸せ‐








臨也がある日突然僕の家へやってきたから僕は家に上げた。

なんだかいつもと様子が変でおかしいなあと思っていた矢先、いきなり臨也が僕に抱き着いてきて、「好きかもしれない、シズちゃんのこと」とぽろぽろと大粒涙を流しながら言われた。

「ねぇ新羅……っどうすればいい?どうしたら諦められる?」

嫌いになりたい。臨也はそう泣きながら言い放った。

今日はセルティが遠くに出掛けていていないため僕と臨也の二人きりだ。
でも驚いたのは、僕が何か言う前から諦めることを前提に考えていたこと。
臨也がもし恋愛をしたらきっと自分から積極的に攻めていくだろうかと思っていたから正直意外だった。こんなに弱い生き物だったとはね。初めて知ったよ。
それとも、それほど本気ということなのか。

とりあえず僕は臨也を頭を撫でてなだめて、徐々に落ちついてきたところで「先生に言っておくから、明日は学校休みなよ」と言うと、臨也は小さくうなずいてからと小声で「ありがとう」と呟く。
まさか臨也が静雄のことを好きだったなんて初めて聞いたけれど、僕はあまり驚かなかった。自分で意外だったけどね。もしかしたら心のどこかで"いつかこの日が来るだろうな"とおもっていたのかもしれない。

しばらくすると泣きつかれたのか臨也が眠りにつき、今晩はうちに泊まらせることにした。疲れてたみたいだし、起こすのは避けた方がいいと判断したからである。
ちなみに僕でも臨也は軽々と抱えて運ぶ事ができて、その分ちょっと臨也が心配になった。明日は朝食を用意してから学校に行く事にしよう。ほんの少しでも身体が休まるといいけど。
一仕事を終えた僕は、とりあえずソファに腰を掛け、僕はくつろぐように飲み物を飲んでいたその時。

「あ」

ふと目をやったケータイに着信がきていることに気づき、僕はケータイに手を伸ばした。着信5件で、全部静雄。バイブレーションの設定にしているからか、気づかなかったらしい。僕は折り返し静雄に電話を掛ける。

「もしもし」
『あ、新羅か?』
「うん、電話したでしょ?」
『悪い何度も電話しちまって』
「え?いいよそんなこと。気にしないで」

それしても、何度も電話を掛けて来るくらいの用ってなんだろう。
急ぎの用かな。どうにしたって静雄から電話を掛けてくる事なんてまずない。
課題とかの相談なら何度かあるけど。

『あーそっちに臨也いるだろ』
「まさか電話越しでも臨也の居所がわかるの?それはさすがに…」
『うっせーよ!』

否定はしないんだ。その事に驚きながらも、『はいはい』との簡単な相槌を打つ。それにこれ以上何か言ったら本気で殺されそうだしね。しかし、以外にも静雄は『ただ…』と言葉を続けた。

『ただ単に今日臨也の様子がおかしかったから、新羅に何かあったのか聞こうとしただけだ』

あ。これはもしかしたら。妙な勘が働き、僕は「ねぇ静雄って」と、ふと気になった事を問おうと話を切り出すと、静雄はそれを途中で遮り、『なんでもないなら別にいいんだ。じゃあな』と一方的に電話を切ってしまった。

「幸せ、か……」

僕の思う幸せは、好きな人と居ること。セルティと居るだけで僕は幸せを感じられるんだ。セルティ愛してる。早く会いたい。
おっと。話が逸れてしまったけれど、僕はその幸せの感覚を臨也にも知ってほしい。だから僕は応援する。
あと、君がその幸せ知る日はそう遠くないかもしれないよ。






どうか君に幸せを

心から愛してると言える日がやってきますように










なんだかんだんだで2人をくっつける苦労人になっているといい。

企画元:はぴいざ!
2011.5.01
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