そううけ | ナノ






が好き!

・シズイザ前提で臨也総受け





「あー臨也……」
「なに?もしかして死んでくれるの?」
「死なねーよ!そうじゃなくてだな、その……誕生日おめでとう」

今日、5月4日。どうしよう。なんだか怖い。
今日はどうしてだか、どこと無く不可解な出来事ばかりが俺の前に訪れる。

始まりは眠りにはいった0時頃。朝起きてすぐケータイを開くと、夜中から朝まで、およそ290通ものメールを受信されていた。内容は全て「お誕生日おめでとうございます」を含んだ文章。
一瞬バグだと思ったが、どうやら違うらしい。なぜなら今日は確かに俺の誕生日だったからである。(メールをくれた相手は取引先だったり、知らない人だったり、学生時代の同級生だったり様々人材からメールが送られてきていた。)
ちなみにいつもは一人で祝ったり一人で祝ったり一人で祝ったり、一人で祝ったりしかしていない。
別に寂しくなんかないけど、その日は大トロをお腹いっぱい食べるというルールがあったので、逆に幸せだったかもしれない。

そして俺はまさかと思いつつも寝室を出ると、家の中はリボンで包まれた箱でいっぱいになっていて、出勤してきた波江さんには「お誕生日おめでとう。今日ばかりは甘やかしてあげるわ」と目を逸らしながら言われた。さっきからずっと疑問だけが頭の中を過ぎる。なんだろう。
普通は嬉しいはずなのに、孤独に慣れてるからか、ドッキリかと疑ってしまった。
祝ってくれた人には悪いけど、俺は中々この状況を素直に受け入れることができないようだ。てかできるわけがない。だって毎年ひとりきりで誕生日を祝ってきたのに、困惑しないわけないだろ。
そのあと野暮用があって池袋へ行き、数分後シズちゃんと遭遇したと思えばこれだ。
驚くものも驚けないのが当たり前の反応だと思う。

「えー……」

俺は小首を傾げた。
世界が変わってしまったのだろうかと思ってしまうくらい今日という日は大変おかしい。

「臨也?」
「……!」

ち、近い!!
我に意識が戻ったその時、なぜだかシズちゃんの顔は真ん前にあって、正直目線のやり場に困った。どこを見ればいいんだろうか。でもやっぱり世間的にもシズちゃんっていう生き物ってイケメンの類に入ってるんだろうなあ。

「なに俺の顔まじまじ見てんだよ」
「あーシズちゃんって顔だけはいいんだなあって思ってただけ」
「バカ照れるだろ…」
「顔だけってところ大事だからスルーすんな」

しかしシズちゃんは都合のよい事しか耳に入らないようで、俺は仕方なしにため息を吐いて口をつむる。

「臨也!」

後ろから俺の名前を呼ぶ声がし、シズちゃんそっちのけで俺は声のする方を振り向いた。だってその声の主がアイラブユーなドタチンだったからである。
俺が押し退けたシズちゃんからは微かに「ちょ、テメェ!まだ俺の話は」という声が聞こえたような気がしたが、たぶん気のせいだろうから俺はドタチンに向かって走り出した。

「ドタチン久しぶり!会いたかったよ!」
「一応確認しとくけど、臨也大丈夫か、静雄になにかされたりしてな、」
「まだしてねーよ!」

シズちゃんがドタチンの言葉を否定したかと思うと、急に俺を挟んで2人は睨み合った。
何がしたいんだろう。そんなに険悪な仲だっけ?
俺パラレルワールドに来ちゃったのかな、と一瞬本気で疑ってしまった。

「遅れたけど臨也、誕生日おめでとう。これプレゼントな」
「えっ…?」

ドタチンも俺を困らせ隊の仲間なの?今考えたけど。
みんなして去年まで「おめでとう」の一言もくれなかったのに今年はどうしたんだろう。俺いいことした覚えないのに。
俺はドタチンからリボンで包まれた箱を受け取った。

だから俺は感謝の意義を込めて素直にドタチンにお礼を言った瞬間、なぜかシズちゃんから舌打ちされた。怒りのツボがよくわからないけれど、単純なシズちゃんだから仕方ないだろう。
というよりドタチンかっこいい。いつもより男前に見える。気がする。

「じゃあ俺はこれで、」
「帰っちゃうのー?」
「ああ、プレゼントも渡したし。今はこれくらいしか出来ないからな……」
「?」

ドタチンは帰り際、時折振り返る度に俺を心配そうな瞳で見つめていた。
俺なら大丈夫なのに、何が心配なんだろう。
忘れてはいけないのはシズちゃんのこと。あーあ。とうとうシズちゃんと2人きりになっちゃったよ……帰りたい。
でも視線は感じるけど殺気は感じないし、大丈夫かもしれない。
そんなことを悶々と考えながらふと周りに目をやる。
その時、見覚えのある姿が目に入り、やがてその彼もこちらに気付いた。

「新羅」
「やあ、臨也」

普段街中で会うことなんてほとんどない新羅に遭遇した。珍しいこともあるものだな。
というよりか今日起こったこと全てが珍しい。というか初めての体験なのだが。
そんな白衣の彼に「どうしたの、こんなとこで」と笑いながら問い掛ける。

「ちょっとね?こんなことになってるだろうとは思っていたけど。それより今日臨也誕生日でしょ、おめでとう」
「うわ、気持ち悪」
「はは、ひどいな。僕だってたまには素直になるさ。はいこれ」
「?」

新羅から手渡されたものを受け取る。なにこれ。変なものでも入ってるんじゃ……なんて思ってたらそれを空気で察知した新羅から「変なものじゃない」と指摘される。

「じゃあ何だよ。新しい薬の実験なら遠慮するけど」
「プレゼントだよ。ちなみに嘘じゃないから」
「え」

俺は目をまるくしながらきょとんとした表情で新羅を見た。
コイツからプレゼントなんて有り得ないだろ。
だから俺は「中身はびっくりばこじゃ……」と恐る恐る聞いてみると、新羅は笑顔ながらに黒いオーラを漂わせながら、「信用ないなあ。中身はオルゴールだから心配しないでよ」と言っていたため、嘘ではないという事なのだろうか。

「あっ、僕そろそろ行かなきゃ。また電話するね、臨也」

新羅はそう言い残すと、患者を待たせているのか、急ぎ足で自宅の方面へ戻って行った。
変なの。




後編

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