MAIL[13] | ナノ




MAIL







『あのさ、いつでもいいから会えないかな?』

これだけ打ち込んで、シズちゃん宛にメールを送信した。
特に用は無い。けれど、なんとなく会いたくなったから。……なんて、さすがに生意気だろうか。そんな事をいちいち気にしてしまうなんて、自分は随分変わってしまったなと改めて思う。
こんな時電話なら便利なんだけど、もちろん番号なんて知らない。
聞いてないし。

しばらくしてからメールの着信が鳴った。この音はシズちゃんように設定していた音。

俺はその音に内心怖じけづきながらも、ドキドキしながらケータイを開く。

『悪い、最近忙しいから』

……だよね。画面に映しだされたのは、断りの文章。俺は肩をすくませる。

これはもうどうしようもないよなぁ……。シズちゃんにも都合あるし、忙しいなら仕方ないだろうな。そえ自分で自慰をしても、自分を慰める事が出来ないのが事実だった。

別に、傷ついたわけじゃない。そういえば嘘になる。

つまり正直少しだけショックをうけたって事だ。少しね。
ここ大事。
ワガママだけど、一言だけっていうのも余計グサッときた。

かといって長文送ってほしいわけじゃなくて、つまり………あーもう。上手く言葉に出来ない。

またシズちゃんの仕事が落ち着いた頃に聞いてみようかな。
少し怖いけど。






後日。
一ヶ月後、俺は再び同じようなメールを送った。
しつこいって思われてもしょうがないだろう。虚しいけど、一応自覚してるし?

『やっぱり予定、合わせられないかな?ごめん』

なんで謝ってるんだろうか、俺は。自分の情けなさに思わずため息が漏れる。

そのあと40分くらいしてから、着信音が鳴った。シズちゃんだ。

俺はすぐにメールを確認するため、ボックスの中を開く。
期待半分。ここで断られたら諦めようかとも考えてたから、怖さが半分。
期待したら負けだってわかってるけど。
俺はシズちゃんから送られたメールをドキドキしながら目にした。

『空いたら連絡する』

シズちゃんからの一言。
なぜだかは自分でもわからないけど、それだけで少し安心した。

ここはじっと連絡を待つ事が俺なりのいい選択だと思う。やっぱり、俺シズちゃんの事好きかもしれない。
もしかしたら"かも"じゃないかもしれない。

認めたくないけど、シズちゃんを求めている自分が確かにいたから。



会いたい。






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