MAIL [1] | ナノ



Ail ‐1‐







ちょっとした遊び心。
暇だったし、どんな反応するか見てみたかったから。

そーいうような、軽い感覚で俺は、シズちゃんにメールを送った。シズちゃんにメールなんて、今まで送ったことなかったから、ちょっとお試しって事もあるけど。

肝心の内容は、『シズちゃん元気〜?(^O^)ばぁか(笑)』

という、あえて名乗らず雰囲気で俺ってわかるように仕組んだ。その方が面白いしね。

それだけ書くと送信ボタンを押した。怒鳴れるかもしれないし、イライラしてケータイをバキッてヘシ折ったり、最悪の場合マンションに乗り込んでくるかもしれないけど、それも承知の上だ。

ちなみにメールアドレスは情報屋の分際で手に入れた代物であり、直接シズちゃんから教えてもらったものではない。

それからしばらく時間が経ち、夕方だった時間は、今は夜中に回った頃。
俺はそんな時刻にも関わらず、仕事を黙々とこなしている。
残っている仕事が山ほどあるため、今も眼鏡を掛けパソコンとにらめっこをしてる状態だ。
書かなければいけない書類も事実上存在しているため、先の事を考えただけでも気が遠くなり、思わずため息が漏れる。

このままだと、完徹もありえるかもしれないな。完徹はもう何度も体験しつつあるため、正直にいうと余裕だったり。
まあ、こーいう仕事だから仕方ないかもしれないけど、昔に比べて、今は波江さんがいるからまだ楽な方である。

そして静かな部屋の中、順調に仕事を進めていると、デスクの上に置いてあるケータイから、着信メロディーが鳴り響いた。
着信が鳴ったケータイ。こんな時間に誰だ?と思いながらもケータイを開いた。

メール、1件。

メール。メルマガか何かだろうか。そんな事を思いながらメールボックスを開く。

すると、そこに表示されていた受信相手が――シズちゃん、という文字だった事にひどく驚いた。
それを見た俺は目を見開きながら、慌ててケータイを開く。

そのメールの内容は、

『臨也か』

それだけだった。
"臨也か"って。

一行にも満たないメール。だけどそれだけで俺は。

だって返事くれるとか全然思ってなかったもん。
キレられたら「この単細胞」みたいに言ってやろうかと思ったのに、残念だなあ。
気が狂う。
ていうかもしそれが狙いなら大成功だよ。
よかったねシズちゃん。









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