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君は醜い“親無し”なのにラグズの力がある
君は麗しい“印付き”なのに純粋な心を持っている
異質な君は妬み嫌われる 同じ境遇の者からでさえも
「おぉ…! なんと!! こんな氷に囲まれている少女…なんとも可憐であろうか。もしやすると…この少女は」
ふくよかで着飾った男性に少女は抱き寄せられた。今にも折れてしまいそうな細い体に触れたらこちらまで凍りつきそうな体温。男性はストールを少女の体に掛け、ゆっくりと立ち上がり、山の麓に待たせていた馬車へと乗せた。息はしている、脈もあることから生きてはいる。
「急いで我が城へと戻れ、時間がない!!」
ハッ、と頷くと兵が馬車を走らせた。
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