9.いざ、ガリアへ

――――――

やがて外の合戦が止んだのか、周囲が静かになった。

「皆、もうデイン兵はいなくなった。外へ出てもいいよ」

「オスカーお兄ちゃん!」
オスカーが顔を出すと真っ先にヨファが泣きながら抱きついた。
辺りを見渡せば敵兵が倒れているのが目に入った。

「ネーヴェル…がやったのか? 怪我は無いかい」

「うん、へーき。ちゃんと約束まもった」
にっこり笑ってVサインを見せる。その様子にオスカーが安堵のため息をもらす。

そして外へ出ると、グレイルが皆に指示を出していた。

「休んでいる暇はないぞ。全員、荷物をまとめろ! 敵の増援が来ないうちに脱出する!」

「了解しました! ボーレ、こっちだ」

「あいよ、兄貴!」

「わわっ、わたしたちも急がなきゃ! 行うヨファ、ネーヴェル! 日持ちする食べ物いっぱい詰め込まないと!」

「う、うん。ミストちゃん!」

「わかたー!」
ミストの後をついて行き、倉庫へと向かった。












――――――

「うーん、なんか申し訳ないなぁ。エリンシアさまにまで手伝わせるなんて」

「気にしないでミストちゃん。それより、かえって足手まといになってないといいんだけど……」

「全っ然!! わたしなんかよりよっぽどテキパキしてて助かります」

「そーそー。ひとでおおいの、たすかる」

「でも…お姫様って、こんなに何でも出来るものなんですか?」

「フフ 私は離宮育ちだから、普通のお姫様様の生活とは違ったのかも。お料理、お洗濯、お裁縫…なんでもしたのよ」

「へぇ〜 意外だなぁ。そんな風には見えないです」

「他にも、乗馬や剣の稽古だって……あら、ミストちゃん。その胸元は…?」
三人で話をしながら作業していた中、ミストの胸元から蒼く光っていることに気がついたエリンシア。

「……エリンシアさまとネーヴェルになら、見せてもいいかな……」
そっと取り出したのは、メダルのような形の青銅でできた物。ただ蒼いオーラの様な物を放っていた。

「まぁ…青銅の…メダリオンね? この光は何かしら?」

「わぁ…きれー」
不思議な輝きを放つ青銅のメダリオンに心引かれ、見とれるネーヴェル。

「お母さんの形見なんです。うーん…なんだろ、この光? 今までこんなことなかったのになぁ。このあいだ、とつぜん光りだして…」

「不思議ね…だけど、とてもきれいな光」

「ほんと、なんなんでしょう?」
しばしエリンシアとその光を見ていたネーヴェル。


ただそのメダリオンから、声が聞こえたような気がして、一人ネーヴェルは首を傾げた。








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