6.クリミア侵攻

クリミア王都メリオルで調べ者をしていたセネリオは飛竜の咆哮を聞いて外に出てみると、王宮に侵略しようとする黒い鎧で身を包んだ重歩兵や竜騎士達が…デイン王国軍を見たという。
クリミアとデインの関係は順調とは言い難く、過去に小さな争いはあったものの、いきなり国境を越えて王城を奇襲するような事は今回が初めてだという。
クリミア王国軍が徹底抗戦の構えに入り、一般人は市街地へ退避するようにとの達しがあり、王都を離れ今ここにセネリオは居るのだという。

「どちらにせよこの田舎にはまだ戦争の第一報すら届いておらんような状況だ。よく知らせてくれたなセネリオ」

「…いえ」

「デインのクリミア侵攻…この傭兵団も無関係というわけにはいかないでしょうね」

「親父はどうする…」

なんとなく、国が…状況が悪いことは雰囲気で察した。横でミストとヨファが不安な表情を浮かべる。
戦う事になるかもしれない。だったら…私が二人を守らなきゃいけない!
グレイル達の話に耳を傾け、理解しようと頭の回転を早くする。
上手く喋ることは出来ないけれど…言葉の理解はできるから。

「二人共そこまでだ。言いたいことは分かった。まずは現状を正確につかむことだ。王都メリオルを一度偵察した方がいいだろう」
ティアマトとセネリオが意見を述べ合う中、グレイルが一つ案を出す。

「アイク、ここはお前に任せる。偵察部隊として何人か連れて行け」

「俺が?」
まさかの言葉に周りが少しざわめくが、気にせずグレイルは続けた。

「補佐としてティアマトと…」

「冗談じゃないぜ団長!! アイクみてぇなガキに…」

「心配ならおまえもついて行くがいい」
納得いかずシノンが反論した。しかしまんまと乗せられて「げっ…」と顔をまたしかめた。そしてティアマトの他にガトリー、キルロイ、セネリオが選ばれた。
アイクが反論するも団長命令と一言、それ以上の意見を述べる前にグレイルは出かけてしまった。
支度を始めた偵察部隊、やがて砦を出る前にネーヴェルがセネリオを呼び止める。

「なんですか。手短にお願いします」

《魔導書、貸してほしいの。古いのでもいいから》
小声で伝えて頭を下げる。溜め息を吐いた後に袖から鍵を取り出してネーヴェルに手渡す。

「倉庫の鍵です。木箱の中に僕が読み終えた魔導書があります魔導書のみ取り出して下さい」

「あ りが とう。き をつけ て」
鍵を受け取るとネーヴェルはセネリオとアイク達に手を振る。
ミスト達と見送った後、オスカーに倉庫の場所を窺い木箱の中から沢山の魔導書を手に取る。

「すごい魔導書の量だね、ネーヴェルちゃん魔導書読めるの?」

「うん まほ う つか ってみんな の やくに たちたい!」

「オレと兄貴だけじゃ不安ってことか? 随分な皮肉だな」

「ちが う おすかー にも ぼーれにも みんなにも ち なが してほしく ないから」
そう言うと魔導書の文字速読を再開する。

「調子狂うな…ネーヴェルといると。真面目過ぎてな」

「まぁ…彼女は一生懸命なんだし、そっとしておいたほうがいいね。ボーレにも見習って欲しいよ」

「本当だよボーレ、ネーヴェルちゃんを見習いなよ」

「おまえら…オレだって日々訓練してんだぞ!」
3兄弟の話し合う中、ネーヴェルは魔導書に、ミストは裁縫に集中していた。

























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主人公の台詞読みにくくてすみません;;
テリウス共通語は「」で、古代語は《》になっています。
また傭兵団達の一・二人称や性格間違っていたらご指摘お願いします。

20110824

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