雨の唄

短編 GOD EATER / GOD EATER BURST

私はアリサ・イリーニチナ・アミエーラ。

ロシア支部から極東支部に配属された新型神機使いです。

装備は、ロングブレード・アサルト・バックラー。

機動性に長けた、どんなアラガミ相手にも不自由しない組み合わせだと思います。


今日はリーダーと2人での任務でした。

リーダーは相変わらず強くって、あっという間に討伐目標を倒してしまいました。

せっかく2人きりだったのに、それももう終わりなんですね…。


帰投を待つこのわずかな時間が、私にとって最も大切で幸せなとき──…。

「アリサ。」

不意に名前を呼ばれ、どきっとする。


動揺を悟られないよう冷静を装って振り返れば、リーダーはいつもと同じ笑みを浮かべていた。

そして、

「見てくれよ。今日は新しく合成した神機なんだ。」

と、神機を見せびらかすように掲げる。


「どう?」

目を輝かせて、そう尋ねてくるリーダー。

感想を求められて、答えないわけにはいかない。


「えーっと、そうですね…。」

リーダーの神機をまじまじと見詰めてみた。


真っ赤な私の神機とは対照的な、真っ青なロングブレード。

アサルトもバックラーも同じ青色で…、なぜだろう、ものすごく見覚えがある。


その理由はすぐにわかった。

自分の持つ神機と見比べて、はっきりと理解する。


「もしかして…。」

「気付いた?」

リーダーは、イタズラに成功した子供みたいに笑った。


「アリサの装備は、アヴェンジャー・レイジングロア・プリムストーンの組み合わせだろ?
 俺のは、クレメンサーとサイレントクライ、あとティアストーン。」

すっと、私の神機と並べるように、リーダーが神機を持ち直す。


「同じ形で、色違いの装備。なんか“対”っぽいだろ?」


“対”というリーダーの言葉に、私は顔を真っ赤にした。


…リーダーに、他意はないんだと思う。

ただ純粋に、“仲間と色違い”…というのを楽しんでいただけなんだと思う。

ちゃんとわかってる。


…でも。

それでも。

期待せずにはいられない。


「どうした、アリサ。…顔が赤いぞ。」

「な、なんでもありませんっ。」

「そうか。」

(〜〜〜〜っ!! もうっ、リーダーの鈍感! 気付いてくださいよっ!)


全然気持ちに気付いてくれないリーダーに、私はいつもドキドキさせられて、期待して、でも裏切られての繰り返し。


今の私は、リーダーにとって“仲間のうちの一人”でしかないんだろう。

…だからまだ、この想いは胸の奥にしまっておく。



──いつか、本当に“対”になれる日が、来ればいいな…。


リーダーと色違いの神機を、私はぎゅっと握りしめた。
〜Fin.〜

あとがき

主人公、アリサの気持ちに気付いていそう。

ホントは拍手お礼でもやろうかと思って書いたSSだったんですが……、
結局拍手お礼はやらないことにしたので、普通に短編の方に掲載。
アリサが主人公の名前を呼ばないのはその名残です。

それにしても、やっと書けた男主人公×アリサ!
アリサも大好き!
…今さらだけどゴッドイーターはツボキャラが多すぎる。
2011/04/15(加筆修正:2011/12/29)
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