雨の唄

短編 GOD EATER / GOD EATER BURST

ナギサとリンドウが恋人同士というやつになってから、結構経つ。

第1部隊の現隊長と元隊長であるこの2人。

傍から見たら理想のカップルかもしれない。


仲睦まじいという言葉がしっくりくるような雰囲気を常に漂わせているこいつらには、共通点も多い。


例えば、他を惹き付け、多くに慕われるカリスマ性。

人をまとめ上げ、引っ張っていけるリーダーシップ。

最前線で戦い、そして生き残れるだけの実力。

守るためならば、命をも賭す覚悟。


そして……。



「リンドウさん。」

「んー? どうした、ナギサ?」


「私、リンドウさんのことが大好きです。」

「俺もお前のことが大好きだぞ。」


「どのくらいですか?」

「どのくらい、か。…さあ、言えねぇな。」


「…いじわる。おしえてくださいよ。」

「口では言い表せないくらい好きって意味だったんだが…。そうだな…、しいて言うなら…。」


「しいて言うなら?」

「今すぐ食っちまいてぇと思うくらいに、好きだ。」


「リンドウさん…。」

「お前は?」


「…私は、秘密です。」

「おいおい、卑怯じゃねぇか。俺に言わせたんだから、お前も言えよ。」


「…リンドウさんになら、食べられてもいいってくらい、好きです。」

「ナギサ…。そんなこと言って、覚悟はできてるんだろうな?」


「…いいですよ。リンドウさんなら…。」

「…お前、可愛すぎるぞ。」


「リンドウさん…。」

「ナギサ……。」



「……うざってえっ!!」


今にも濃厚な口付けを交わしそうだった2人の雰囲気をぶち壊す怒号は、辺り一帯に響き渡っただろう。

イライラを惜しみなく前面に押し出して睨んでやれば、2人はきょとんとした顔なんてしてきやがった。



第1部隊の現隊長と元隊長のこの2人。

こいつらには、共通点も多い。


例えば、他を惹き付け、多くに慕われるカリスマ性。

人をまとめ上げ、引っ張っていけるリーダーシップ。

最前線で戦い、そして生き残れるだけの実力。

守るためならば、命をも賭す覚悟。


そして……、


「なんだ? ソーマ、ヤキモチか?」

「テメェらには羞恥心ってものがねえのか。ここをどこだと思ってる。今何時だと思ってる。真昼の、エントランスだぞ。周りを見ろクソッタレどもが。」

「愛に時と場所は関係ないぞ、ソーマ。」

「うるせえ、こっちが迷惑してんだよ。」


…周囲を全く意に介しないほどの度量。


こいつらに口を出せるような奴はそういない上、何か言ったところであまり効果がないのは明白だった。

だから、黙って目をそらし、聞こえないフリを決め込む。

それしかない。

…しかし、こう毎日のように続けられては、さすがに精神的にやられてくる。

なんで任務に行くたび戻るたび、気まずくならなきゃなんねえんだ。



もういっそ頼むから…

よそでやれ

−了−

あとがき

最近、タイトルを最後に持ってくる書き方が、個人的にブーム(?)です。
単純にオチに使いやすいという理由もありますが。

最初はリンドウさんではなくソーマで書いてたんですが、…なんかソーマがソーマじゃなくなったのでやめました。
2011/9/3
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