雨の唄

短編 GOD EATER / GOD EATER BURST

リンドウさんのある意味最大の欠点

現在、リンドウさんと2人。

《贖罪の街》でハンニバル1体の討伐任務の真っ最中。

ちょこちょこ目の前に現れる小型アラガミを倒しながら、討伐目標であるハンニバルを探しているところだ。


「それにしても、新型ってこんな感じか。剣と銃が両方使えるのって、やっぱり便利だな。」

「そう思います。」


帰ってきたリンドウさんは、右手がアラガミ化していた。

だから今は、その右手を神機のようなものに変形させて、アラガミに攻撃している。

ちょうどシオみたいな感じだ。


もともと旧型近接式の神機使いだったリンドウさんの攻撃手段は剣のみだった。

だからか、新型のように剣攻撃と銃攻撃を使用できるようになって、嬉しいらしい。

まるで、新しいおもちゃをもらった子供のようにはしゃいでいるように見える。


そんなリンドウさんと並んで歩いていると、しなやかな身体を躍らせるようにして、ハンニバルが姿を現した。


「よし。さっさと終わらせるぞ。」

「はい。」


お互い剣形態にした神機を構え、威嚇するハンニバルに向かって一直線に向かって行く。


連続攻撃を仕掛け、隙を見て捕喰。

手に入れたアラガミバレットは、仲間に受け渡す。

自分で撃つより、Lv3のものを撃ってもらった方が良い。

そっちの方がずっと強力だから。

別に撃たなくても、Lv3ともなれば通常のバースト状態よりも能力値が大きく上がる。


…そう心得てるから、私は捕喰して得たアラガミバレットをリンドウさんに受け渡した。

リンドウさんも私に渡してくれる。


強制神機開放状態。

たたみかける。


ハンニバルの腹の下に潜り込み、返り血が降りかかるのも構わず何度も剣を振った。

ハンニバルが身を捩る。

次の瞬間、その長い尾を鞭のようにしならせ、振り回した。

慌てて装甲を開き、防御する。

幸い、大した衝撃はなかった。

リンドウさんの方は距離をとってかわしたらしい。

銃を構えている。


「撃つぞ!射線空けてくれ!」


そう言うが早いか。


「え?」


轟音と共に、発射されたいくつもの大きな炎の渦が、標的に向かって襲いかかる。

当然、そのすぐそばにいる私にも。



…そして。


ハンニバルはピクリとも動かなくなった。

任務は完了した。


「悪い!本当に悪かった!すまない!この通りだ!」


土下座する勢いでひたすら謝るリンドウさん。

その前にいる傷だらけの私。


傷の原因は、リンドウさんの放ったアラガミバレットだ。


神機使いの撃った弾で、神機使いはダメージを受けない。

怪我もしない。

それは、アラガミバレットでも同様。

ただ、衝撃はある。


当たった弾自体で怪我はしなくても、弾に当たった衝撃で吹き飛び、地面やら壁やら何やらにぶつかれば、当然痛い。

怪我もする。


「悪い…。」

「大丈夫です。これくらなら、すぐ治りますから。」

「いや、だが…。よし、責任持って俺がお前を嫁にもらおう。」

「そんなこと気にしてません。本当に平気です。」

「……………。」

「ただ……、次はちゃんと撃つ少し前に声をかけてくださいね?」


撃つ直前に言われても、反応できないかもしれない。

せめてその場から離れる時間くらいほしい。

…ということを伝える。


リンドウさんはものすごく渋い顔で頷いたのだった。
終わり。

あとがき

リンドウの沈黙の理由は、反省ではなく軽い落胆。

彼は容赦なくアラガミバレットぶっ放します。
本格的な話、あれは避けられない…。
2011/5/9
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