雨の唄
短編 GOD EATER / GOD EATER BURST
ソーマの苦手なヤツ
任務を受諾し、エントランス2階に上がってくると、エレベーターから下りてきたソーマと目が合った。「あ、ソーマ。これから任務?」
「いや、特に入ってない。」
「そうなの? じゃあ私の任務に付き合ってくれない?」
「何の任務だ?」
「旧港湾区で小型アラガミおよそ30体の掃討なんだけど…。」
別に難しい任務ではないが、少々面倒だと言わざるを得ない。
一匹一匹は弱くても、一度に襲いかかられると回避と防御に慎重になる。
当然その分時間がかかってしまう。
「…別に構わない。」
「ありがとう。」
ソーマは何の迷いもなく承諾してくれた。
よかった。
これで大分時間が短縮される。
…と、この時はすごく安堵していた。
そして。
任地である《愚者の空母》にやってきた。
報告通り、小型アラガミがうじゃうじゃと群れをなしている。
あっちにフラフラ、こっちをフワフワ。
そういえば小型アラガミと聞いただけで、具体的に何なのかまでは聞いてこなかった。
目の前にいる大量のアラガミは、どうやら皆ザイゴート種らしい。
状態異常攻撃をしてくるのが厄介だけど、当たらなければ問題ない。
ソーマもいるし、すぐ終わる。
「じゃあ、だいたい15匹ずつってことで。」
「……………。」
ソーマは沈黙で返した。
まあそれはいつものことだ。
特に反論はない。つまり了承。
でもなぜだろう。
一瞬盗み見たソーマの顔が引きつっていたように感じた。
気のせいかもしれないけど。
そして数分後。
「……………。」
「……………。」
アラガミの殲滅は終わった。
一人でやるよりは、ずっと早く終わったと思う。
だって、的が1つと2つとでは、攻撃される量が変わってくる。
単純に考えても半減だ。
それにソーマはアラガミを引き寄せやすい体質だから、私よりもずっと多くのザイゴートに群がられていた。
だから……。
自分の討伐数:21体
ソーマの討伐数:9体
…という結果でも、仕方ないんだと、そう思う。
「……悪い。」
「いやっ、ううん。私の方こそ、なんかごめん…。」
珍しく落ち込んだ様子のソーマに、若干心が痛んだ。
…とりあえず。
ザイゴート掃討任務にソーマは誘っちゃダメだ…と、肝に銘じておこう。
終わり。
あとがき
別の話でも使った「ソーマはちょろちょろ飛び回るアラガミが苦手」ネタ。私の書くソーマは、ザイゴートが大嫌いです。
2011/05/06