雨の唄
短編 GOD EATER / GOD EATER BURST
いわゆる憧れってやつ
「あ、コウタ。リンドウさんとソーマも。任務?」任務を受注した3人は、ちょうどエレベーターから降りてきたナギサに声をかけられ、立ち止まった。
「そ!ナギサは? ヒマなら一緒に行かない?」
「ごめん。私もこの後任務が入ってるから。」
「そっか。なら仕方ないよな。」
「うん。じゃあみんな頑張って。いってらっしゃい。」
コウタは元気よく「いってきます!」と手を振り、リンドウも笑顔を返し、ソーマも一つ頷いた。
コウタ、リンドウに続いて、ソーマが出撃ゲートをくぐろうとした時。
「あ。ソーマ、ちょっと待って。」
という声が聞こえて、ソーマはくるりと振り返る。
リンドウとコウタも顔を向けた。
ナギサは黙って近付いて行き、すっとソーマに手を伸ばす。
ソーマは驚いて身を引こうとして、でも踏みとどまった。
「曲がってる。」
そう言って彼女が手にしたのは、ソーマのネクタイ。
「直してあげるね。…どうせすぐ元に戻っちゃうだろうけど。」
「…い、いい。よせ。自分でやる。」
「大丈夫だってば。ちゃんと直すから。」
別にそういう意味で言ったのではない。
しかしソーマの気持ちなんて知る由もないナギサは、くすっと一つ笑って、さっと整えてくれた。
「はい、できた。」
「あ、ああ。悪い…。」
「うん。じゃあ、いってらっしゃい。気を付けてね。」
「……行ってくる。」
ソーマは少し顔を赤くして、笑顔で送り出してくれるナギサに、ぼそっと一言それだけ返した。
彼女に背を向けると、しらーっとした視線を向けてくるコウタとリンドウが視界に入る。
「…なんだその目は。」
「ソーマ、今絶対『新婚さんみたいだな…』って思っただろ。」
「…思ってない。」
「ウソだーっ。」
「俺もネクタイしてみるかな…。」
リンドウが呟いたそんな言葉に、ソーマとコウタが戦慄した。
−了−
あとがき
大した意味もないお話。これくらいなら結構ぽんぽん書けるかも…と気付く。
…ネタが尽きなければ、ですが。
2011/04/21