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バレンタイン
2月14日。
聖バレンタインデー…
『仁王くん!』
『これ私から…』
『私からも!』
去年のことを思い出し俺が出した結論は。
「休も…」
◎バレンタイン◎
休んでも暇なものは暇。
“部活出ればよかったかのぅ…”
でもギャラリーがいて今日は練習にならないだろう。
真田怒っとるじゃろなぁ…
ベットから起き上がり軽く髪を結いながら洗面所へ。
顔を洗って誰もいないリビングのソファーに座る。
「…名前…」
今日ただ1人、会いたかった人。
もらえるって期待はしとったが…
俺が行かんことには…のぅ…
「メールしようかのぅ」
“今日俺ん家来んか?”
自己中か…そう思われても仕方ないかのぅ。
♪〜♪〜〜♪〜♪♪
「…きた」
“何しに?”
「……、ぇ」
今日はバレンタインじゃよなぁ?
忘れとるんじゃろか…
“今日何の日か知っとぅ?”
“鳳君の誕生日”
“……誰じゃよ”
“氷帝の2年生レギュラーだよ”
“あぁ…そうじゃった?”
向こうは授業中。
返事もまちまちであっという間に15時。
ピンポーンピンポーン…
「…ぉ、」
名前じゃろか…?
ガチャ…
「おめぇ何で休んでんだよバカ!!」
「何じゃ丸井か…」
「何で来なかったんだよ」
「面倒じゃろ」
「あー…チョコ?」
「あぁ」
「ん、今日の課題!わざわざ届けてやったんだから何かくれ!」
「お前さんなぁ…」
グイッと腕を引っ張り、
「名前じゃろ」
「っ?!」
ゴシゴシとカツラを無理矢理取ると愛しい彼女の姿が。
「な、何で…っ分かったの?!」
「俺を誰じゃと思っとるん?」
手を引き部屋へと足を運ぶ。
冷静に言ってるつもりじゃが内心すごく嬉しい。
「それ脱いで、これ着んしゃい」
「は?何で?」
姉貴の服を渡すと名前はキョトンと俺を見た。
「男子の制服なんて着るんじゃなか!」
「ブン太に借りたんだよ、でっかーい♪」
どさっ…
「…っわ…!」
「早く脱がんと脱がすぜよ?」
無防備な名前を押し倒し顔を近付けて囁くと顔を赤くし、目を見開けた。
「今日は何の日か知っとるんじゃろ?」
「知らない訳ないじゃん」
「じゃぁ何であんな嘘ついたんじゃ?」
「今日来なかった仁王っていう人にムカついたからですー」
「…はぁ…」
しれっと言う名前に溜め息をつき制服のボタンに手をかける。
「な、…っ何?!」
抵抗する名前の手を優しく握り、
「お前さんからだけには…もらいたかったぜよ…」
「だから用意してあ―…んんっ?!」
言いかけた唇を自分のソレで塞ぎ、思いっきり深く口付けてやる。
知っとったよ、その位。
今日来てくれることも。
丸井に変装してくることも。
バレンタインを用意してあることも。
全部全部知っとった。
「ん…はぁ…っ何す―…」
「愛しとるよ…」
「…ぅん」
「ってことでお返しは俺でよか?」
「は?」
「今から」
「はぁっ?!」