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嫉妬
「ん、名前…バレンタインありがとな。お返し」
「宍戸…気にしなくていいのに!」
「名前先輩!俺も、お返しです」
「ありがとう、長太郎」
「名前…バレンタインあげたん俺だけちゃうかったん?」
「へ?うん」
◎ホワイトデー◎
信じられへんわ…てっきり俺だけにくれたんやと思ってたのに。
だってバレンタインって好きな人にあげんねやろ?
「名前からのチョコうまかった〜!侑士!これ名前に渡しといてくれよ!」
「はぁ…?」
岳人にまであげとったんか…胸糞悪い…。
「俺今日髪切りに行くから部活出れねぇし!」
そう言い、パッツンは軽やかな足取りで教室を後にした。
「俺だけちゃうかったんか…」
「なーにイジけてんの?」
「…名前…?!」
椅子にもたれ窓の外を見てたらドアのほうからからかうような声がし、
振り向くと名前が。
「イジけてる?俺がか?」
「うん」
いつものポーカーフェイスで問うと、名前はニッコリ笑って頷いた。
「んなアホな」
「ふーん?」
ゆっくり歩み寄り俺の隣に腰掛ける名前。
「侑士からは、?」
「…ん?」
スッと右手を差し出され。
「3倍返し」
「は?!」
「常識でしょ」
「何言うとんねん」
「あはは」
「笑い事かぃ」
名前らしいっちゃーらしいけど…
そんなこと言うとは思わへんかったわ。
「侑士、部活は?」
「ん?行くで?」
「そっか」
「あ、これ…岳人がホワイトデーやって」
「…、っ…ありがと…」
名前の顔を見ず小包だけを渡す。
カサカサと音がし視線だけを動かすと小さめの紙袋に小包を入れる名前の姿が。
むしゃくしゃした俺はその紙袋を蹴り飛ばした。
ガサッ…ガタガタ…っ
「ひゃ…っ?!」
「何やねんそれ」
「…ッ…ぇ…?」
「何やねんそれ、って聞いてんねや」
「ぉ…、かえ…」
「持って帰るつもりなんちゃうよな?」
「…っ…」
不機嫌丸出しの俺に怯える名前。
床に散らばった小包に目をやると自然に眉間の皺が深くなる。
「捨てろ」
「ッ…そんな…」
「できひんのか?」
「…っ…だ、…って…」
「俺やったら、」
持って帰れないぐらいのお返しをあげる。